「大災厄は他人事じゃない」ノートルダム 炎の大聖堂 ふたり映画さんの映画レビュー(感想・評価)
大災厄は他人事じゃない
ノートルダム大聖堂について知識はそんなになかったので、冒頭のガイドさんたちによる紹介はとても分かりやすくてありがたかった。
ドキュメンタリーのようなリアルな大火災の映像、消防士たちの懸命な消火活動と世界的文化遺産である聖遺物の救出に緊迫感がありました。中弛みなところもあるけれど、淡々と事実を物語るのも必要なのかもしれない。
おばあちゃんの猫救助要請に和みを感じたけど、今思えば、人によって何にも譲れない大切なものがあって、価値基準の違いの対比を表していたのかなと思いました。普段なら駆けつけてくれる消防なのに、それに答えられない逼迫状況と密になった細い路地、大渋滞、建造物の老朽化、観光地による人の多さなど、パリの社会問題もかなり反映されていました。何百年何千年の遺産であろうが、そのひと一人だけの身近な大切なものだろうが、助けを求める声は必死。神父さんの姿に涙がでそうになった。
そして、消防士さんたちの懸命な消火活動に頭が下がる思いです。女性消防士さんの活躍はフランスと日本の違いを感じました。決死隊という言葉はフクシマ50を思い出すし、どうしても災厄は他人事だとは思えない。
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