「正直さや素直さの美しさに立ち返る作品」はざまに生きる、春 うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
正直さや素直さの美しさに立ち返る作品
画家・透の発達障害故のひたむきさ、率直さに惹かれる主人公・春。彼女の揺れる心と近づいては離れを繰り返す二人のドラマを、巡る季節の風景をふんだんに取り入れながら描いた作品。
発達障害を扱った作品にありがちな「定型はこう対応すべき」や「定型側が合わせるべき」という主張がないのが新鮮だった。
春の日常の中に、春が透以外の人物とも食い違う描写を織り交ぜることで、「(明言化された)障害だけがコミュニケーションのズレの原因ではない」「はざまは0と1の一軸だけにあるものではない」と描いたのだと感じた。
透のふるまいに対して春が見せる戸惑いや心の揺れを、隠したり取り繕ったりせずにそのままに描いているのも好印象だった。
そういった「障害のせいにしない」姿勢がラブストーリーやドラマとしての純度を上げていると感じる。
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