劇場公開日 2024年10月11日

「ジョーカーになってしまった男」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 澄千代さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジョーカーになってしまった男

2024年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

難しい

『ジョーカー(2019)』の続編、殺人犯として収監されたジョーカーことアーサーが刑務所で出会ったハーレーことリーと共に世界を共感させていく。

本作はジョーカーになってしまった男のその後を描いた物語でした。

本作の賛否両論もおおよそ理解できました。劇的なジョーカー誕生を描いた前作に比べ、ただジョーカーになってしまっただけの男の後悔と未練と葛藤が描かれた本作に共感できる人は限られるはず。だけど、ジョーカーの深層心理を鋭く描いていた衝撃作でした。

でも、ホアキン・フェニックスはまた女性依存の役だ。

冒頭の刑務所生活でアーサーの絶望感が伝わりました。その絶望がリーという共感者の出現で希望に変わり、その希望が歌を通じて群衆の共感を呼び、アーサーはジョーカーの再演を果たす。実際はもっと人間臭いけど、ジョーカーの復活劇に少なからず共感できました。

が、ヤツはただの犯罪者だ。

と、ダークナイトも言ってたように、殺人犯の自覚がアーサーを苦しめる。どこか、喜劇王を思い浮かべました。人を笑わせる者と対する人を恐怖に陥れる者になろうとしている。本作がここまで現実的に描かれなければとてもハートフルな喜劇だったのかもしれません。

ジョーカーとは何者か、改めて考えさせられました。

本作のアーサーは誰もが知るあのジョーカーだったのだろうか。アーサーはジョーカーに近い人生を送り、短期間ながらも連続殺人を犯したけど、その後は後悔と絶望に苦しむ刑務所生活を送る。むしろ、社会への復讐者という本来のジョーカー像はリーの理想像でした。

本作を見ていると、ジョーカーとは社会に不平不満を持つ共感者の群衆によって崇め奉られた象徴であり、それを演じているだけの道化師の名にすぎないのかもしれません。劇中の共感者のみならず、本作の視聴者も破壊者としてのジョーカーを期待したはず。アーサーは共感者の期待と自身の人間性の間で葛藤していただけの道を踏み外した男にすぎなかった。

『バットマン(2022)』や『ペンギン(2024)』など、最近のDC作品はキャラクターの人間性にスポットを当てています。バットマンに暗い面があるように、ジョーカーも明るい人間性がある。本作でジョーカーのイメージがニュートラルになった気がします。

でも、バットマンという新たな障害があれば、この二人もうまくいくのかもしれませんね。

澄千代
おひさまマジックさんのコメント
2024年10月18日

やっぱりパラレルワールド、ですよねぇ😅わかっていつつ抗いたい妄想レビューでございましたー💦

おひさまマジック
たつのこさんのコメント
2024年10月18日

もともとアーサーはコメディアンとして笑いを届けようとしていた優しい男ですものね
自分ではない自分の世界に落ちたアーサーは確かに本当の殺人鬼になるには優しすぎたのでしょうね

たつのこ