「代弁者だったのに。」ジョーカー　フォリ・ア・ドゥ　Hana25さんの映画レビュー（感想・評価）

女に弱い、ただのオジサン。そんな印象しかなかった。俺を丸ごと受け止めてくれると
喜んでいたアーサー。でも、リーも私と同じように、アーサーではなくジョーカーを求めていたように思う。そんなレディガガも、どこかのインタビューで、ファンの代弁者でいる、と言っていた。そう、私も負け組中の負け組だった。理不尽な世の中で微々たる力でやってきた私としては、弱々しいアーサーが狂気の最中としても、ジョーカーとして産声を上げるあの瞬間、私は心の中で歓喜の声をあげたのだ。大袈裟ではなく。私たちの代弁者としてジョーカーに狂気の沙汰で大いに暴れて欲しかった。
映画だけでも。映画だけでも、弱い奴がヒーローになってもいいじゃないかと。
でもアーサーは、最後はアーサーでしかなかった。痩せ細った、疲れ切ったオジサン。
まるで負け組は負け組で終わっとけよといいたげに作られたこの映画。
こんな映画を作るために、頑張った監督さん、お疲れ様。