「さすが、分かってらっしゃる」マッドマックス フュリオサ La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
さすが、分かってらっしゃる
あの大傑作『マッドマックス 怒りのデスロード』の続編を喜寿を超えてまだ作ろうとするジョージ・ミラー監督には感服しますが、あれだけの作品の後ですから、何を撮っても比較されてしまうに違いありません。でも、前作の実質的主人公であったフュリオサに今回は焦点を当て、それにアニャ・テイラー・ジョイを起用したと聞いて「さすが、分かってらっしゃる」と思わず膝を打ちました。これは嫌でも期待が爆上がりです。僕には珍しく満を持してIMAXで鑑賞しました。
さて、今回は前作で女性らを連れてイーモータン・ジョーの下を脱出したフュリオサの前日譚を描く物語。うむ、やはり砂漠を爆走する様々なアクション・シーンは文句なしの迫力で、度々「ヒャッハー」してしまいました。アニャのみが放ち得るあの目力も抜群で、IMAXの威力を堪能できます。
前作を含めこれまでのシリーズを観ていなくても大人から子供まで楽しめる作品である事は間違いありません。でも、その上で、敢えて申し上げます。前作ではフュリオサ+マックス vs. イーモータン・ジョーと言う対決の構図が明確であった為に観る者も素直に力を籠める事ができました。しかし今作では、彼女の復讐の相手としてディメンタスが配された為、フュリオサ vs. ディメンタス vs. イーモータン・ジョー の三角構造になり、物語のベクトルがやや散逸してしまった様に感じました。
更に、成長したフュリオサであるアニャが登場するまで時間が掛かり過ぎ、彼女が自分の意思で選択し決定して闘うという爆発力が後半になるまで感じられませんでした。
また、前作で次々と登場したようなバカバカしい改造車をもっと見たかったなぁ。
と、前作が突き抜け過ぎていたのでやはり比較になってしまいましたが、今、これを映画館で観ないという選択肢はないと思います。