「名撮影監督ジョン・トールの不在を嘆く。」マッドマックス フュリオサ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
名撮影監督ジョン・トールの不在を嘆く。
自分にとっての最大の収穫はディメンタス将軍! 居丈高で暴力的で、それでいて小心者であることを隠そうともせず、「ベン・ハー」の戦車みたいなバカげたバイクで精一杯去勢を張る。ほぼトークで進む異様なクライマックスがグレーなまま成立しているのも、この複雑でみっともない極悪党がいてくれたおかげではないか。また、冒頭のひたすらにプラクティカルなチェイスシーンも素晴らしく、ジョージ・ミラー翁の剛腕にひれ伏す。
ただ、「デス・ロード」への橋渡し的な役割のせいで、世界観が狭まってしまった残念さはある。結局イモータン・ジョーがただの為政者に見えてしまったし、ウォーボーイズもちっちゃいカルトのみなさんという感じ。そしてアクションシーン以外の絵が、「デス・ロード」に比べて非常に弱くなってしまったのではないか。人物を複数名入れる引きのショットの気の抜けた感じがひたすらもったいなく、これは名撮影監督ジョン・トールがいなくなってしまったせいではなかろうか。
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