「引きずり込まれる」マッドマックス フュリオサ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
引きずり込まれる
もう冒頭から集中力を持ってかれる。
ビジュアル的な世紀末の描写も、精神的な世紀末感も凄まじい。下地がいいと言うかなんと言うか…1979年に打ち出した世界観やビジュアルが2024年になっても色褪せる事はなく…寧ろ異彩を放つというか、煌めきを放つというか、極上だ。
物語もちゃんと整理はされてて、見やすかったと思うのだけど、感覚的には見たというより体感したような没入感がある。圧倒された148分だった。
その世界観を背負い立つ、幼い頃のフェリオサが…まぁ見事。アレはなんなのだろう?新人類とかなのかな?ちょっと非凡過ぎる才能の塊のような俳優さんだ。
全く埋もれない。
負けもしない。
超大作の冒頭の数十分を牽引していく。
…監督の演出もあるのは勿論だけど、それにしても目が離れない。彼女の目に映る世紀末を追体験していくような感覚にもなる。
いわゆる「怒りのデスロード」以前のフェリオサが描かれるのだけども、骨組みは凄くよく出来てたと思う。
彼女の内面が分かった分、前作のフェリオサの慟哭の意味もより深く理解できる。
故郷に帰る為、世紀末に種を植え続ける為に暴力が支配する荒野を生きる。
生き抜く術を覚え、鉄騎を駆り、血に塗れても尚、尊厳を失われも奪われもしなかったのには、そういう確固たる信念があったからなんだな。
今作のアクションも凄まじい。
CGの恩恵も勿論あるんだけれど、アングルがいちいち気持ちいい。新型のタンクローリーが襲われるとこなんて、てんこ盛りでお腹いっぱいになってもいいようなもんだけど、麻薬のようにもっともっとと欲しがってしまう。
セカンドユニットがおそらくスタントパートを撮ってると思うんだけど、監督のガイなんとかさんはホントにいい仕事してくれた。
そのアイディアを実現させたスタントチームにも拍手喝采だ。机上の空論にせず、ちゃんと実現させたのだから。
もう、どこをとっても隙がない。
一回、無音というか爆音が轟かないシーンがあって、タンクローリーからフェリオサが蹴落とされるとこなんだけど、あの喪失感ったら…極上の演出だも思う。
砂漠の広大さと無慈悲さが際立つ。
何が起ころうと折れなかったフェリオサになす術がない。「無力」取り巻いてる砂漠から断定されたようにも見えた。
名作と呼ばれる事はないとは思うのだけど、映画史に残る一作ではないかと思う。
なにせ、他に類を見ない。
なぜだかファンタジーを感じないのだ。
説得されちゃう。
あとはフェリオサ愛だろうか。
監督はフェリオサを通して何かを語りたかった訳じゃなくてフェリオサを語りたかったんだろうなぁと思う。
すげぇもんを見せられてしまった。
日本映画がこの作品の境地に行き着く未来はあるんだろうか?…無いんだろうなぁ。ムカつくなぁ。
確かにそうですねー
日本人が撮る北斗の拳はツッコミどころが多そうで遠慮したいです😅
とはいえ…あの広大な荒野が地球上に実際にあるんだって事をかせさんのコメントで気づき…それはそれで世紀末も近いなと思った次第です😅