「◇あっけらカランとオーストラリア」マッドマックス フュリオサ 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)
◇あっけらカランとオーストラリア
言わずと知れた砂漠のハイウェイを爆走するバイオレンスアクションシリーズ。初回作(メル・ギブソンの出世作品)は1979年まで遡り、前作#マッドマックス怒りのデスロード 2015のイカれたデストピア設定とぶっ飛びカーアクションの鮮烈な印象が忘れられません。
今作は、その#怒デス でシャーリーズ・セロンが演じた女戦闘隊長フュリオサの生い立ちを遡るスピンオフ企画。愛すべきマンネリ化を開き直って描き切るあっけらカランとしたスタンスには、オーストラリアの何にもない砂漠と抜けるような青空に通じるものを感じます。
ガソリンとオイルの匂いに満ちたオタクな改造モータリゼーション世界観が、下腹に響くようなエグゾーストノイズを響かせます。戯画化されて感じる特殊武器の数々とも合わせて「男の子向き」なスペック上等の世界観でもあります。
そんな男性的作品世界の中で、寡黙に戦うフュリオサ の強かさ変幻自在さが、愚かな戦いを続ける情けない男たちと対称的に、美しくも頼もしくも感じられてきます。プライドの相対性に揺れ動く男達の戦いに対して、一貫して完全なる復讐のために戦い続ける姿への共感でもありました。
コメントする