劇場公開日 2024年5月31日

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「これはスピンオフドラマではない。シリーズは新たな秩序と家族の物語に発展するのではないか。」マッドマックス フュリオサ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これはスピンオフドラマではない。シリーズは新たな秩序と家族の物語に発展するのではないか。

2024年6月3日
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鑑賞方法:映画館

映画冒頭のタイトルでは「フュリオサ マッドマックス サーガ」と表記されている。サーガは叙事詩とか大河小説といった意味合いで、ある一族や家族の年代記を指すことが多い。映画でいうと「ゴッドファーザー」、「スター・ウォーズ」、「デューン」。初期3部作は家族を失った元警官マックスの物語だったが「怒りのデス・ロード」はマックスは脇役となりウェイストランドに新たな秩序ときずなを築こうとする人々の姿を描く。「怒りのデス・ロード」はアクション部分ももちろん良いがイモータン・ジョーの支配する砦の姿が素晴らしく面白かった。一種の宮廷社会であり、極端なまでに女性を搾取する生産構造。フュリオサは砦の異端児であり「怒りのデス・ロード」の最後でイモータン・ジョーを倒し主導権を手にする。
本作は、その前日譚であり、イモータン・ジョーほどの戦略性はないものの野心家であり暴力的なディメントス将軍を配することにより、フュリオサが砦にやってきた事情と彼女の復讐を描く。「ゴッドファーザー」に対する「ゴッドファーザーpart2」がそうだったように、登場人物の内面により入り込んだ描写が成されておりサーガとしての深み、広がりが感じられた。
最後の方でマックスのV8インターセプターも映っているし、フュリオサがイモータン・ジョーの妻たちを連れ出そうとするシーンも再撮影されている。きちんと前作に話が繋がっているわけだがフュリオサの物語はこれで終わりではないだろう。フュリオサはただのスピンオフの登場人物ではなくマックスからサーガを引き継いだ物語の主人公だからである。
次回作は「怒りのデス・ロード」以降の世界が描かれると思われる。そしてそこではフュリオサが創り出す新世界秩序と、彼女を中心とした疑似家族ともいうべき人々との絆が描かれるのだと思う。恐らくはその中にはマックスと、本作には登場しなかったフュリオサの父親が入ってくるのではないか。次回作が本当の大団円。サーガが完結するはずである。ジョージ・ミラーはなんとかあと1作頑張ってほしい。

あんちゃん