劇場公開日 2024年5月31日

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「前日譚というのがストーリー上の足かせにしかなっていないのが残念」マッドマックス フュリオサ あげ玉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前日譚というのがストーリー上の足かせにしかなっていないのが残念

2024年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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まず、超ミニマルな構成で大成功した前作と大きく違う伝統的な三幕構成にしたジョージ・ミラーのチャレンジ精神に敬意を表したい。そのうえであえて辛口に言うと…

前作でシャーリーズ・セロンが演じたフュリオサと、今作でアニヤ・テイラー=ジョイが演じたフュリオサは、かなり違うキャラクターに感じた。前作では強くてカッコよかったフュリオサが、今作では随分とフェミニンでファッショナブルに。

絵づくりも、前作はスクリーンから砂煙が出てきそうだったのが、今作はやたらクリーンでCGっぽい。CGっぽいのは背景やモノだけでなく主人公の顔も。ただでさえナチュラルにCGっぽいアニヤ・テイラー=ジョイだが、もはや完全にCGキャラにしか見えない。

ジャックにまったく魅力がない。キャスティングの問題もあるのかもしれないが、まさに「ストーリーの都合のためだけに存在する」キャラになっており、マックスの出がらしのような印象。

三幕構成にしたことにより、アクション映画としての魅力はかなり小さくなった。というか、アクションはそんなに重視していない映画ですね。三幕構成にして、魅力的なお話が語られるかというと、それもやや微妙。「そうでしょうね」という展開しかしない。やはり前日譚というのがストーリー上の足かせにしかなっていない。過去を描くのは難しいね。

というふうに書くと面白くなさそうだけど、そんなことは全然ない。誰もが観に行くべき、非常によくできたアクション大作。前作が本当に凄すぎただけ。

ハモニカ犬