「相変わらずの衝撃とカタルシス」マッドマックス フュリオサ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
相変わらずの衝撃とカタルシス
瞬間風速を更新しながら爆走し続けた前作と違い、今作はフュリオサの半生を描く上でストーリー重視であることは明白。だがやがて我々が脳天かち割られるほどの衝撃で気づくのは、そういった比較すら無意味だということだ。前作の成功がなければ本作は存在しないし、本作というストーリーの発端がなければ前作は生まれえない。つまり互いが爆発的なエンジンとなって支え合う間柄と言える。さらに本作は各章が唯一無二の舞台、展開、ヴィークル、轟音、炎、オイル臭さ、オレンジ色の砂塵にまみれた体感的アクションを提示して観客を熱狂の渦へ叩き落とす。その計り知れなさ。容赦のなさ。つくづくミラーのバイタリティは怪物の域を超えている。そして何より刻々と凄みを増すアニャ・テイラー=ジョイの寡黙なれど執念たぎる表情は至高の極みだ。観た後すぐデスロードを見たくなる、その後またすぐフュリオサを観たくなる。飽くことなき無限ループの始まりである。
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