「黙って劇場で観ておけ!」マッドマックス フュリオサ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
黙って劇場で観ておけ!
シリーズ最新作にして、前作に登場した女戦士フュリオサを主人公に据えた本作。当然のことながら期待値爆上がりで、公開2日目にIMAXで鑑賞してきました。その期待を裏切らない完成度に大満足です。
ストーリーは、暴力が支配する荒廃した世界にあって、ひっそりと平和な集落で暮らしていた少女フュリオサが、ある日、あたりで略奪を続けるディメンタスが率いる軍団に連れ去られ、救出に向かった母親も殺され、対抗勢力のイモータン・ジョーに取引の材料として引き渡されながらも、復讐と帰郷を心に誓い、不屈の精神で生き抜く姿を描くというもの。
上映時間148分と長い作品でしたが、全く長さを感じません。開幕早々に作品世界に引きずり込まれ、時間を忘れて見入ってしまいました。前作公開が9年前で記憶も曖昧だったため、前日にアマプラで再鑑賞して臨んだのですが、その必要はなかったです。前作の前日譚ということもあって予備知識は不要ですし、なんといっても迫力の映像が全てを物語っており、これ以上ない説得力となっています。初見でも全く問題なく楽しめます。
本作を楽しむ上で欠かせないのが、この絶望感な世界観です。水と食料と資源を奪い合い、暴力がすべてを支配するという混沌の世界。その中で、それを絶好の機会と捉えて己の欲望のままに突き進む者、強者に尻尾を振ることで己の身を守ろうとする者、それでも優しさや穏やかさを持ち続けようとする者など、本性をさらけ出した人間の姿が赤裸々に描かれます。“あなたはどんな生き方を選ぶのか”と究極の選択を迫られているかのようです。
そんなぶっ壊れた世界の中で、少女フュリオサがいかにして戦士フュリオサとなったのかが、鮮明に描かれています。前作よりストーリーがはっきりしていて、フュリオサの成長譚としても見応えがあります。特筆すべきは少女時代を演じたアリーラ・ブラウンで、かわいらしい顔つきの中で放つ目力は、強者に屈することなく、どんな状況下でも諦めず、信念を決して曲げない意志の強さを物語っているようです。彼女の創り上げるフュリオサ像が、シームレスに戦士フュリオサへと引き継がれます。
フュリオサは、前作のシャーリーズ・セロンからアニヤ・テイラー=ジョイにバトンタッチされており、線の細さを感じる部分もありますが、こちらも見事に演じ切っています。ただひたすらに復讐の炎を燃やし続けるフュリオサの激しい怒りと深い悲しみが、ひしひしと伝わってくるようです。激しいアクションシーンも淡々と冷静にこなす姿は、まさに戦士といった感じです。
そんなウリのアクションもすさまじい迫力で、IMAXとの相性もよく、あまりの臨場感に何度も声が出そうになります。そのアクションを支える、さまざまな改造やギミックを施されバイク、車、武器、その他のガジェットも、本作の見どころの一つです。荒廃した世界の中で残された資材をかき集めて、具現化された斬新なアイデアがおもしろいです。
そんな感じで大満足なのですが、ディメンタスがちょっとだけ中途半端に映ります。マントと配役のせいでソーとかぶり、娘の面影を追ってしまっているような面もあって、イマイチ冷酷な悪党に見えません。もちろん、ふてぶてしい言動とゲスそのもののやり口のおかげで、イモータン・ジョーの統治の方がましにも見えるし、その最期に溜飲が下がる思いはしますが、もっと人間性のかけらもない男として描いてもよかったのではないかと思います。でも、ひょっとしたら、彼もまた世界に絶望して闇堕ちしたかわいそうな男として描かれていたのかもしれません。
主演はアニヤ・テイラー=ジョイで、彼女の新たな魅力が感じられる圧巻の演技です。脇を固めるのは、クリス・ヘムズワース、トム・バーク、アリーラ・ブラウン、チャーリー・フレイザー、ラッキー・ヒューム、ジョシュ・ヘルマン、エルザ・パタキーら。
邦画も頑張っていますが、やっぱりお金があるハリウッドの作品は規模が違いますね。あのレベルの予算の一部でも邦画に反映されるよう、多くの方に劇場にお運びいただきたいものです😭
共感ありがとうございます!初見でしたがおっしゃる通り全く問題なく観られました!ディメンタスはたしかに最強の敵って感じではなかったですね😳乳首のシーンは印象的でしたが😅笑
共感ありがとうございます。
ヘムズワースは巨悪になりきれない、残念な感じでしたね、イモータンジョーとの対比狙いでしょうか。砂漠での最後の会話、実はまだ生きてる、ちょっとダラダラしてましたね。