「映像はいい アクションもいい 音楽もいい」ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い 路傍立石さんの映画レビュー(感想・評価)
映像はいい アクションもいい 音楽もいい
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ストーリーがちょっとびっくりするくらい肌に合わなかった
主人公も敵役も動機の掘り下げが全然なくて感情移入できないし、感情移入できないままに進んでいくストーリーの中で主人公が機知に富み、判断を間違えず、武勇に優れている姿を示す一方で、敵役は不意討ち以外でまともに戦果を挙げられず、判断や決断も納得できるところがほとんどない
だからだろうか、言葉や演出で必死にかき立てようとしている絶望感、緊迫感が上滑りしてしまい物語が冗長に見えてしまう
結果として、ロードオブザリングの系譜らしい美術や音楽の壮麗さ、緻密と豪壮が同居する美しさに反してストーリーが陳腐に感じられてしまったのがとても残念
闇の軍勢が表立って跳梁する以前の時代ということも相俟って、ファンタジーの始祖とも言えるシリーズの看板を背負っているにもかかわらずエルフもドワーフもホビットも不在、魔法の道具も無し、オークでさえほんの少し端役で出る程度で、物語のメインは人間同士の内輪揉め
それも至って私的な逆恨みの復讐に群衆が巻き込まれているだけなので、本来の指輪物語が持つ重層的な世界観の深遠な魅力もあまり引き出されていないように感じた
指輪物語のネームバリューゆえに期待しすぎた可能性も否定はしないけれど、個人的には絶望的なほど、脚本が肌に合わない作品だった
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