劇場公開日 2024年12月27日

「中つ国版コマンドー」ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い ストレンジラヴさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5中つ国版コマンドー

2024年12月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

「これが考え抜いた策?」
「いい策とは言ってない」

ビルボ・バギンズが"一つの指輪"を思いがけず手に入れた時から遡ること200年、西方の騎馬民族の国ローハンに生きた王女ヘラの物語を伝承形式で綴る。ピーター・ジャクソン製作総指揮のもと、「攻殻機動隊SAC_2045」の神山健治がアニメーション化。
大反省。色々としくじった。まず、私事だが上映時間を勘違いしてチケットを買い直す羽目になった。また、神山さん制作のアニメと聞いていたので吹替版で鑑賞したのだがこれが大失敗。別に吹替版声優の演技がどうということではなく、LOTR三部作を字幕で鑑賞していたため、本作の語り部の正体にエンドロールまで気付かない大失態を犯してしまった。因みに言ってしまうが、本作の語り部はミランダ・オットー、LOTRでのローハンの女騎士エオウィンである。また、本シリーズ屈指の名コンビであるビリー・ボイドとドミニク・モナハンも(ピピンとメリーではないが)ゲスト出演しており、自分の下手によってLOTR三部作と別物と割り切ってしまうような見方をしてしまったのは痛恨だった。アイゼンガルドの魔法使いとしてサルマンが少しだけ登場するが、こちらもクリストファー・リーの声をAI生成して声に充てたらしく、字幕版で観ればよかったと後悔している。
で、本編なんだけど、「まあ、いいんじゃね?」と思いつつも腑に落ちなかったのがローハン王ヘルムである。LOTR三部作をご覧の方はご存知の通り、「二つの塔」の主戦場となったヘルム峡谷はこの王の名前に由来するのだが、どうにもこのジイさんが武闘派オブ武闘派でとんでもなく強いのである。顔面を一発殴っただけで大の男を死なせるやら、戦闘で深手を負って「もう動けない」とか言っていたかと思いきや知らん間に大勢の敵兵を始末していたりと、その姿はまさに世紀末覇王そのものである。ジジイになればなるほど武闘派になるのがトールキン以来のお約束だが、さすがにやりすぎ感が否めなかったし、あまりに突然チート化したのでその後の話がイマイチ入ってこなかった。
また、登場こそしないものの、冥王サウロンはオークを遣わせて血眼になって指輪を集めている。スメアゴルが指輪を拾ってビルボの手に渡るまで500年かかっているから、「これだと時系列矛盾するんじゃないの?」と思ったが、鋳造ではなく落とした指輪を探していただけだったのね。
やっぱりLOTR三部作ありきではあると思うが、今回に関してはこちらの落ち度もあるので本来であればもっと面白く観られたと思う。
2024年、三部作でローハン王セオデンを演じたバーナード・ヒルが亡くなった。エンドロールには彼の名前があり、ジーンときた。

ストレンジラヴ