夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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日常が淡々と流れていくようなそんな映画
自分が障害者支援の仕事に関わっていることもあり、まだ私自身も過去にPTSDを患ったこともあるため予告編で内容が気になり見てみました。
内容的にはパニック障害とPMSを抱える男女それぞれの生きづらさがありながらもお互いを少しずつ理解し、さらにそこに関わる人や環境が映し出されていき、特に大きな展開や事件が起こることもなく淡々と日常が流れていくような映画に感じました。主人公2人は互いに生きづらさを抱えながらその中で辿り着いた小さな会社はみんな優しく接してくれて受け止めてくれて、以前の会社の上司もそれを見守ってくれて、でもそんな会社の社長や以前の会社の上司も実は過去に大事な人を亡くした大きな悲しみを背負っていて、それぞれみんな何かを抱えながらそれでも少しずつ自分や相手を理解し歩み寄って生きているんだよなーとなんとなくそんなことを思いました。作品の最後的にもわりとぼんやりで2人が結ばれハッピーエンドみたいなわかりやすいものではないけど、なんかたまにはこういう映画見るのもいいよなと思いました。若干、シーン的にこれはアドリブかな?と思うとこが気になりました、松村さんがばっさり髪切られたとことか!まあ、ぜひ見てみてください!
温かなまちの住人たち
じんわり優しくなれる映画
待望の三池監督作品。淡々と流れる普通の会社の日常と少し特性のある若手の社員2人の物語。登場人物全てが優しくて刺激が強い映画が多いこの頃、久しぶりにほっとする映画を見たなぁと言う感じだった。
それにしても脚本が本当に素晴らしい。近頃ドラマでも映画でも原作と意図の違う変更を問題視されてるけど、この映画は原作と違うところはあってもちゃんと根っこを理解してるから原作ファンもすんなり受け入れるだろうし、観終わった後素晴らしい感動をくれる。
特に派手な演技や音楽が無くても観てるうちにいつの間にか涙が流れてた。
俳優陣も素晴らしくてキャスティングした人に賞をあげたい。ありがとうあなたのおかげで素敵な実写の藤沢さんや山添くん栗田社長に会えました。
一つだけ言わしてもらえるならばクイーンファンの私はボヘミアンラプソディのくだりも入れてくれると嬉しかったなー
自分ではどうしようもないことを受け入れるということ
キネマ旬報1月号で監督のインタビュー記事を読んだこと、原作者が瀬尾まいこだということで、観ようと決めていた映画。原作小説は未読。公開日2024年2月9日に鑑賞(2024年劇場鑑賞4作目)。
物語は、治療の難しい「上手く付き合っていくしかない病気(症状)」を抱えて生きる若い男女(山添くんと藤沢さん)の交流を軸に穏やかに、ゆっくりと展開していく。藤沢さんと山添くんが出会って、関わるうちにお互いを受け入れて成長していくというストーリーかと想像していたが、どうやらそう単純な話ではないようだと途中で気づく。
2人の周囲には、近親者を自死で亡くした人、介護を必要とする人(藤沢さんの母ら)が登場する。何故そういう人たちが登場したのか?。見終った後しばらく考えていると、タイトルの言葉が浮かんだ。
難治の病、老い、身内の死。自分ではどうしようもないものを抱えて苦しんでいるとき、心で寄り添ってくれる人がいると、そうした受け入れ難いものを受け入れて生きていく大きな力になる。そういうことを原作者と監督は言いたかったんじゃないのかな。
三宅監督のインタビュー記事によると、原作とは舞台設定が異なっているらしい。栗田科学というプラネタリウムを作る会社は原作には登場しないようだ。星の話、宇宙の話が出てくるので、星空が重要な意味を持っているのかと思い、星空がどこで出てくるのかを待っていたのだが、終盤にプラネタリウムの星空がちらっと出ただけ。星空それ自体は、この物語の重要な演出要素ではなかったようだ。
クライマックスの重要な演出要素は、藤沢さんを演じる上白石萌音の語りだった。星空は見せる必要はなかった。彼女の語りで十分だった。ずっと聞いていたくなるような語りだった。
難しい役を演じた松村北斗と上白石萌音の2人の自然な演技は良かったが、個人的には「君の名は。」で聞かせてくれた上白石萌音の声の魅力を再確認させられた作品だった。歌手、声優、ナレーター、朗読。彼女には、そういった声の仕事も、もっとやって欲しい。きっと長く、多くの人を魅了する名優になるはずだ。
もっと暗く重い話だと思っていたが全然ちがった。心が温まり優しい気持ちになる。相手を気づかうような気づかわないような感じの会話が良い。「パーフェクトデイズ」程ではないが日常的な出来事しか起きない。
お互いの病気(?)を知ってからの、相手を気づかうような気づかわないような感じの会話が良い。2人が友達でも恋人でもない関係なのも良い。ただの同僚だ。お互いけっこう言いたいこと言ってるのもいい感じだ
例えば、後半、日曜日の会社内での会話。ちゃんとは覚えてないが、
山添が藤沢に「何かあったらPMSのせいにすればイイから便利だよね」みたいなことを言う。皮肉やイヤミで言ったというよりは、思ったことをそのまま言っただけのように感じた。だから言われた藤沢も気にすることなく、「あっ、そだね今度からそうしよう」みたいな感じで受け流す ( ← 実際はこんなセリフ言ってません)。
藤沢も山添に、「パニック障害ってことで日曜に出勤してる」みたいなセリフを返す(ぜんぜん正確に覚えてません)。
何がどういいのか分析して説明出来ないが、「何か良くネ?」って思った。
あと、終盤の移動プラネタリウムのテントの中で、藤沢が山添と解説文を作った話が良かった。
観賞後、本屋で原作をパラパラっと見たら、映画であったような描写や会話がてんこ盛りで面白そうだった。買ってないけど図書館で予約した。
そして、2人の抱える問題が特に何か解決するわけでもない。
治っわけでも、症状が出なくなったワケでもない。PMSのときの憂うつ、イライラ、怒りは抑えられないし、パニックのときは死の恐怖を味わう。
だけど真っ暗闇に何となく微妙に光明が射したかな~?みたいな感じで終わったのが良かった。
それから、見ているうちに2人がホントに栗田科学の社員のような気がしてきた。
苦しみへの援助ではなく、ただ隣にいるということ
私自身も生理前になると気分がどーんと落ち込んで一人になりたかったり、人に不貞腐れた態度をとってしまうことがある。なので、そうした悲しみやイライラを引き起こすPMSには理解があるつもりだった。でも、藤沢さんのように、もはやイライラを越えて自分でコントロールできないほど怒り狂ったりする症状もあるのだと驚いた。
パニック障害についても理解していたつもりだったけど、発症のきっかけは人それぞれで、発作が起こるタイミングも人それぞれなのだと思った。劇中、山添君が会社の給湯室で発作を起こしてしまう場面がある。あれは何が原因だったのだろうか。電球が切れてチカチカしたことだろうか。「山添くんはパニック障害」という意識で観ていたため、忘れ物を取りに深夜の会社に行くシーンや、電車の通る線路横の道を自転車で走るシーンには内心心配しながら観ていた。発作が起こったらどうしよう…と。
PMSもパニック障害も、外見からその人がその病気を持っていることはわからない。私の身近にも、街中ですれ違う人の中にも、もしかしたらそういう人がいるかもしれないのに、思いやりができてないことがあるな、と我を省みた。
この作品では、思いやりが「わかりやすい助ける行為」で描かれるのではなく、「ただ隣にいること」として表れていた。苦しみを抱えている人が身近にいるとき、変に気を遣ったり助けたいと思ってしまうことがあるが、こんな風にいつも通りただ隣にいて会話したり日常を一緒に過ごすことだけでいいのだと思えた。
疲れた時に観るととても心に沁みる映画だ。主演のお二人以外の方たちもとても温かく優しい人柄を演じている。何より時間がゆっくり流れている感じがして、観ながらもこちら側に考える余白を与えてくれる。藤澤さんのお母さんはなぜデイサービスに通ってるのだろうかとか、二人が会社帰りに食べていた中華まんの中身はなんだろうなとか、藤澤さんは次の職場でどんな風に働いてるのかなとか。陽だまりの暖かさを感じさせるエンドロールもとてもよかった。
原作を読んだ上で見ましたが…
情報が解禁されてから原作を読み込み、今か今かと公開初日を待ち侘びていましたが、蓋を開けてみると意図がよく分からない謎の原作改変ばかり。私の好きなシーンもほぼ全カット。原作通りの藤沢さんと山添くんを望んでいた私にとっては、望んでいたものとかなりかけ離れている映画になりました。二人の友達でも恋人でもない関係性がじっくりと構築されていくところを描いた原作から、どうしてあんなものができあがってしまったのでしょうか。見ていてとても悲しかったです。キャストのお二方の演技はすごく自然で素晴らしかったので、それもあってとても惜しい!すべて原作通りにしろとは思っていませんが、いくらなんでも原作とかけ離れすぎていたのでこのような評価とさせて頂きました。
それでも生きていく
雨の中、ずぶ濡れになっている藤沢さんのシーン。オープニングから引き込まれた。
あいだあいだに挟まれる夜の街の光も素敵。
山添くんが電車に乗れず倒れ込む後ろ姿がたまらず、藤沢さんの柔らかい雰囲気とイライラした時の狂気めいた落差の表現。
二人とも自然で映画を見ていることを忘れてしまう。脇を固める役者さんも本当に存在する人たちみたい。
変に恋愛に発展するような展開でないのもよかったし、山添くんと恋人の別れのシーンもバッサリカットしているのもよかった。
「互いに助け合うこと」の大切さ
共にメンタル面での問題を抱える若い男女の物語だが、変にラブ・ストーリーのようなベタベタした展開にはならず、かといって「お互いに傷を舐め合う」みたいなジメジメした話にもならないところには好感が持てる。
特別な感情はないものの、相手を大切に思っている2人の距離間が絶妙で、とても心地よく感じられるのである。
そこで描かれているのは、「人を助けることによって、自分も救われる」という関係性で、人間というものが、助け合い、支え合う生き物なのだということを、改めて思い知らされた。
ゆったりとした時間の中で、淡々とした日常が描かれるだけなのだが、冒頭の上白石萌音のモノローグや、序盤のテロップでの病状の説明、あるいは終盤の松村北斗のモノローグなどがアクセントになっていて、劇映画としての作り方の工夫も感じられる。
「夜明け」を迎えるプラネタリウムのナレーションによって、「希望」が感じられるラストになっているのも良かったと思う。
その一方で、途中、近親者を自殺で失ったらしい人達のサークルが出てきて、主人公たちが勤める会社の社長や元上司が、二度と自殺者を出したくないと思っていることは分かるのだが、かといって、主人公たちは、病気を苦にして自殺を考えている訳でもないので、そうしたエピソードが、どこかチグハグで中途半端に感じられてしまった。
また、PMSの藤沢さんが、母親の介護のために故郷に戻って行くエンディングにも疑問が残る。
世の中での「生きづらさ」を感じていた2人のうち、パニック障害の山添くんは、何とか自分の居場所を見つけることができたのだが、藤沢さんの方は、はたしてどうだったのだろうか?
映像の質感と俳優が演じるリアリティが醸し出す極上のヒューマンドラマ
三宅唱監督作品とあっては観なければなるまい!というモチベーションで鑑賞。
予告を目にしたときから、確実に期待に応えてくれそうな予感がしていた。
PMS(月経前症候群)で月1でイライラを抑えられなくなる藤沢さんと
パニック障害を抱える山添くんの中心に描いているのだが、
まずもってこの二人の恋愛ドラマという単純な作品ではないことに
感銘を受けた。
というのも、お互いの病に向かい合い、「治療する」ではなく、
「助けになることがある」という山添くんのセリフが
そして実際にお互いのことを考え、行動している姿が
この作品の全てを象徴している。
藤沢さんとお母さん、友達、との関わり合いも、実にリアルだし、
友達に恵まれていることも救いだろう。
山添くんも元会社の先輩の存在も大きかったことと思う。
何より、本作の中心の舞台でもある職場の人・環境も素晴らしく、
そして優しい。
そう。なんと優しい映画なのだろうと思う。
また、映像の質感が素晴らしい。
色味。特に夜景が美しくため息が出るほどだ。
映像から感じられる空気感・雰囲気も本作に見事にマッチしている。
私としては、上白石萌音の演技が圧巻であり、
特に月1イライラ直前・最中の表情や話し方が激変することに
感動を覚えた。
数々のキャリアを打ち立てている俳優だが、本作は間違いなく彼女の代表作になるに違いない。
多くの方に観ていただきたい、まさに"今"観るべき映画だと思う。
こんな話だったっけ?
何度でも観たいあたたかさ。
共感度120%!主人公の心境と夜空の景色の対比が鮮やかだ
内容は「PERFECT DAYS」のように淡々と進んでいきます。
主人公の藤沢(上白石萌音)はPMS、山添(松村北斗)はパニック障害に苦しんでおり、現代のストレス社会では多くの人が何らかの病気や症状を抱えており、職場等でトラブルが起きやすくなります。自分自身もいろいろ思い出すことがあって大変共感できる内容でした。
このような病気や症状を持っている人は、どうしても自分の殻に閉じこもりがちになり、窮屈な小さい世界で過ごすことが多いと思います。
山添と藤沢がお互いに向き合うことで、
小さな世界から夜空やプラネタリウムの大きな世界に流れていく対比は鮮やかで、開放的な気分になりました。
「太陽は動かない」と劇中で語るように
自分中心でなく、世界を広げて物事を見
ていくことが重要だと感じました。
仄かな希望、生きるチカラを、胸の裡にそっと宿らせてくれる傑作。
生きるということは「どうにもならないこと」。どんなに頑張ってもなかなか思いどおりにならない。そんな「制御できないもの」といかに折り合い、遊ぶか。本作は、そこのところを焦らずに語っていく。
ファーストシーンは、意表をついて藤沢さん(上白石萌音)の長いナレーションから始まる。加えて、彼女のこみあげる怒りや恥じ入る謝罪のことば…。ときに深いため息までも交えたそれらの「声・音」に、いつしか耳そばだてている自分に気づかされる。
「声・音」に続いて印象的なのが、数々の「映画的記憶」とでもいうものだ。
劇中「おじいちゃんたちが宇宙に行く話」「月に向けて親指を立てる話」といった映画絡みのセリフも出てくる(『スペ●●● ●●●●●』『ア●●●』のこと?)が、そんなフレーズだけでなく、むしろここで言いたいのは16ミリフィルムで撮られた豊かな映像が喚起してくれる個人的な妄想のたぐいだ。
たとえば、室内から扉の間口越しに映し出された戸外は、思いがけずジョン・フォードの『捜索者』や小津安二郎の『晩春』を連想させる。また何度も挿入される列車の遠景シーンは侯孝賢の『珈琲時光』を思い出させてくれる。それは、いずれも純粋に映画そのものを推進する“チカラ”としてひたすら美しく、心地よい。
特に中盤の、山並みを背に画面左から右へと走り抜けていく列車のロングショットでは、大好きな『東京物語』の尾道のシーンと不意に「記憶」がダブり、泣いてしまった。このあたりから涙腺の緩みは加速してゆく…。
山添くん(松村北斗)が、早退した藤沢さんに忘れ物を届けるため、職場の制服をごく自然に羽織り、チャリをゆるゆる転がして(このシーン、山添くんの表情と自転車のスピード感が絶妙!)坂道を下るあたりで涙腺決壊。以後ラストシーンまで波状的に涙がこみ上げ…。映画でこれほど涙してしまったのは『わが谷は緑なりき』以来かも(苦笑)。
一方、藤沢さんがサンドウィッチや蜜柑をほおばりながら歩く、あるいは部屋でポテチの缶に口をあてて一気食いするといったシーンでは、彼女の人となりがさりげなくあふれ、思わずにっこりほっこりしたりもする。
このふたりの関係は、『はじまりのうた』のキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロの結びつきに近いか。親友とも恋人とも違う。ここで三宅監督のことばを借りると、やはり「同志」と呼ぶのが一番しっくりくる。自分とは異質の人とどんなコトバを交わし、異なる生活感や価値観にどう橋を架けるか。そんなふたりの会話が実にスリリングだ。その向こうにゆるやかな連帯感が広がる。映画のラスト、ふたりの関係性は時や場所を超えて、山添くんのナレーションでゆるやかに閉じていく。
三宅監督はインタビューなどで、本作を「『特別な人』の『特別な話』にならないようにしたかった」と語っている。「主人公たちはいずれも前進しようとする人」で「相手が困っている時、何かできることがあるんじゃないかと小さなアクションを起こす。それは必ずしも正解と限らないがチャーミング」なのだと。
けっして他人事でも例外的なことでもない。日々暮らすうえで、私たちが否応なく感じさせられる無力感や幻滅。それにどう向かい合い、かすかなりとも希望を見出していくか。本作は、そこを考えるチカラを与えてくれる、私たちの心にそっと寄り添いながら。
映画終盤、「移動式プラネタリウム」に主な登場人物が一堂に会する“見せ場”があって、ここでも泣いてしまったのだが、その時ふと思い出したのが木下順二の戯曲『子午線の祀り』。壇ノ浦の戦いであえなく散った平家武将らの姿を、天空の運行と対比させつつダイナミックに描いた叙事詩だ。
そしてもう一つ。この「移動式プラネタリウム」内で“天空”を捉えたショットは、無限な宇宙の「拡がり」よりも、カメラが収める「狭さ」をむしろ感じさせた。この印象は、映画『晩春』で室内から窓越しに捉えられた裏山の景観を観た時に感じたものと同じだ。
私たちがふだん眺める光景はごく限られた狭いものに過ぎない。そこに、人の意思とは無縁の“天空からの視点”を加えることで、新たな風景・人々そして自分の立ち位置が立ち上がってくる。それは歴史的人物であろうと無名の自分だろうと変わりはない。
本作を観終わった後は、だれしも自分のキモチがちょっぴり変わったことに気づくだろう。映画に心から「ありがとう」と言いたくなった。
※監督のティーチイン付き試写会にて鑑賞(あまりにも泣いてしまったので、もう1回、劇場で観直します)。
じんわりと沁みる温かさ
悲しい場面もないし感動を誘われた訳でもないが、なぜかずっと泣きそうになりながら見ていた。PMSによって前の会社でうまくいかず、今の会社でもイライラが抑えられないことのある藤沢さん、パニック障害で普通の人が普通にできることができない山添くん。相手のことを知らなければ「なんだコイツ」と思ってしまうようなことをお互いしていた2人が、相手のことを知って関わるうちに、男女だろうと苦手な人相手だろうと、助け合うことはできるということを認識する。最近はよく男女間のいがみ合いや気に入らない人間には何をしてもいいだろうというような人たちが多いような気がしていたので、この映画の中の人たちの優しさがそういったいざこざに疲弊していた心に沁みた。エンドロールも秀逸で、主題歌が流れて以上映画でした、というような感じではなく、日常がずっと続いていくような終わり方がこの映画のテーマに非常にマッチしているように感じた。
主演二人をはじめ、脇を固める俳優陣も皆よかった。
なにか大きな事件が起こるわけでも、ありえないような設定がある訳でもない。私たちの日常と地続きの世界で、藤沢さんと山添くんが生きている。現代社会に生きている人々にこそ見て欲しい映画だと思える作品だった。見られてよかった。
無題
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