夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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凄く良かった‼️
鑑賞後温かく爽やかな気分になれる映画
とてもシンプルで淡々と毎日が進む。
エンタメ的なドタバタはほぼない。恋愛もない。
でも、確実な変化がある。
静かだけど観ていて飽きないし、くすっとするところもあって、ほろっとして、心が温まる。
いい映画見たなと思える時間をありがとうございました。
ただそこにある日常
自分の住む街や生活がほんの少し愛しく思えるかも
「普通に生きてるだけでもみんなそれぞれいろいろあるよね」という当たり前のことを、みんながあたたかく受け入れて助け合っている。
「いろいろある」部分を描いているので、多少辛く苦しい面の描写もあるが、それが主題ではないし、笑えるやりとりもあって、苦しいなという部分に囚われ続けることはないんじゃないかと思う。
16ミリフィルムで撮影した映画を見たのは初めてな気がする。光がふわっとしていてあたたかくてすごく綺麗だった。
画だけでなく音もナチュラルで街の息遣いが聞こえてくるようで、自分の暮らしと栗田科学で勤める人たちの暮らしは地続きな気がした。
ハレでもケでもなんでもない日常にぴったりの映画。
いい漫画を読んだら漫画を描きたくなるし、いいライブに行ったら楽器を弾きたくなる。それと同じで、あったかい世界に触れたら自分もあったかい人になりたくなる。そんな映画だと感じました。
自分でも信じられないくらい泣けた
最初に泣いてしまったのは、ずっとカーディガン姿だった山添が栗田科学というジャンパーを羽織った場面。
そして、涙が止まらなくなったのは、渋川清彦演じる山添の元上司が、山添の言葉を聞いて顔を歪ませるカフェでの場面。元部下が自分の居場所を見つけたことを泣いて喜んでくれる元上司って…。
自分でも「疲れてたんかなぁ」とも思うが、信じられないくらい泣けた。
「ケアすることはケアされること」とは言われるが、映画に登場する誰もが、そんな風に大上段に構えて誰かをケアしてはいない。
むしろ、ケアしたかったのに、それに気がつけずに今も悔いを残している人たちが登場する。
発作に苦しむ藤沢や山添に対して、彼らの振る舞い方の自然さに救われる。
そして、藤沢や山添を面倒くさがる奴らも、勝手にアウティングする輩も出てこないことがありがたい。実際の世界の中には、そうした行為をする者も山ほどいるだろうが、そんな行動はいずれ消え去るべきもので、この映画の中では雑音にしかならないので必要ない。そのきっぱりとした演出がいい。
栗田科学のような会社のあり方は、本当に理想的だなぁとしみじみ思うが、それも、弟の自死を経験している社長の「日常的に人を大切にする振る舞い」が社員をそうさせているのだろう。
(追記:2回目を鑑賞して、栗田科学には「人にやさしく 自分にもやさしく」というポスターが貼られていることも確認。社訓も「想像する心 創造する力」で、なるほどと思わされる)
それにつけても、「知る」ことの大事さもよく伝わってきた。藤沢も山添も、互いの病気について知ったことで、わずかでも相手を助けられるようになり、ひいては、それぞれ自分の病気とも向き合えるようになったのだと思う。
山添が自転車を漕ぎ出す場面、そして、日陰の登り坂で自転車を降りて押す場面を見て、自分の病気との向き合い方を身につけてきたんだなあと感慨深かった。(ママチャリに追い抜かされても穏やかな山添、ナイス!)
話は少し変わるが、今回は、妻と一緒に鑑賞して、同じ場面でも、こんなに捉え方が違うのかという経験をした。
一つ目は、山添の部屋で、藤沢が残ったポテチをガァーっと口を開けて流し込むカット。
自分は「男の部屋でもこうした気を使わない振る舞いができる関係性だよっていう表現かな?」という捉え方をしたのだが、妻は「あぁ、あんなに食欲が抑えられないって、もうすぐPMSが発症するなぁ…」と思って見ていたらしい。
二つ目は、藤沢が、日曜日に車を洗いに出社するカット。
自分は「前回の発作の時に、山添に教えられた事が、コーピングレパートリーの一つとして、ちゃんと身についたんじゃん! これって、メンタルクリニックで否定されてた認知行動療法じゃないの?」などと思っていたのだが、妻に言わせると「生理が来る時って、急に色んな物をきれいにしたくなったりするんだよ。お風呂磨きしたくなったりさ。生理が来るとぐったりして動けなくなっちゃうから、本能的にそうなってるからかもしれないけど。それにね、ケアすることでケアされるって、物に対してもそうだからね。丁寧に洗濯物を畳んだり、整頓したりって、相手が物だけど、自分もケアされるんだから」とのこと。
…何も言い返せませんでした。
いやぁ、自分の知らないことを知るってやっぱり大事。
あと、夜明けをテーマにしているだけあって、光と陰影の対比表現はとても素晴らしかった。
「あのプラネタリウムの外にいる山添の顔の陰影がさ、太陽に照らされている地球や月みたいでさぁ…」「あの自転車を降りた坂道は日陰になっていてさ」などと熱く語っていたら、妻に「よくそんなこと考えながら観ていて、号泣できるねぇ」と呆れられてしまった。
けど、自転車に乗る山添の顔に光が当たったり、時折陰になったりっていうのが、山添の人生を表しているようで、そういう所もよかったのだから仕方がない。
けど、そういう所を語り過ぎるのがうざいのだろうなということもよくわかる。ごめんなさい。
最後に出演者について。
藤沢の友人役に、ドラマ「silent」で、主人公の紬の友人役を演じた藤間爽子、山添の恋人役に、「朝がくるとむなしくなる」の芋生悠、自助グループのリーダー役に、「さよならほやマン」の漫画家役の呉城久美など、以前に観た作品で好きだった役者が次々と出演していたのもうれしかった。
現時点で、本年度ベスト作品。
(ホントは、2回目は、コメンタリーを聞きたかったのだが、なぜかUDCASTがちゃんと起動せず、聞けなかった。同じ様な人いますか? 原因不明で困ってます…)
じんわり温まってフッと軽くなる映画
特別な何かが起こるわけでもなく
何かが解決してハッピーになるわけでもない
でも、観終わったらなんか軽くなったなってフワッと浮き上がるような気持ちになる。
最初からずっとリアルな苦しさで潰されそうになるけど
それでも前向きに自然に過ごす温かさとユーモアに触れて笑顔になれる。
上白石萌音さんと松村北斗さんの醸し出す自然な空気感に静かに笑って泣いて二人と出会えてよかったと静かに思えるそんな静かだけどずっと心に響いて残るふんわりとした映画
三宅唱考
個を見つめる
私もPMSとまではいかずとも(そもそも諦めて診断を受けたことがない)生理前は偏頭痛と微熱に悩まされている。また、息子が軽度の発達障害と自閉症で、たぶん私自身も。今でこそ病名がつくけれど、20年30年前は、その生きづらさがただの甘えだと片付けられていた。
映画の中で藤沢さんが「病気にもランクがあるか、PMSなんてまだまだだよね」って。これを聞いて私は憤った。これを聞いてというか、この言葉を言わせた山添君に憤った。何が辛いかなんて人それぞれで、弱い、甘いと言われればそれまでだけど、姿形が違うように、好きな歌が違うように、人が人である限り同じ物を見聞きしても人が10人いれば10通りの感じ方がある。勝手に決めつけないでほしい。と同時にこれを言わせてしまった山添氏も自身の失言を感じ変わるきっかけを作ったように思う。
栗田科学の朴訥な優しさの中で出会った事で二人は救われて、二人の成長で社長も救われて、本当にそれぞれの夜明けがあった。
自分の弱さを受け入れる事、人を思いやる事で少しでも生きやすい世界になればと思える作品だった。出来る事なら、新たな1歩を踏み出した藤沢さんをこの先も見守りたい。
ひとを思いやり、優しくすることは、自分を思いやり、優しくすることでもある。
ヒーリング効果あり!
パニック障害を抱える山添と、PMS(月経前症候群)を抱える藤沢の2人の男女の関わりを軸に、周囲の人達の温もりのある接し方を描いた実に癒される人間ドラマでした。浅学非才のためPMSという症状があることを知らず、この映画で初めて知ることになりましたが、妻に聞いてみると友人にもこうした症状を持つ人がいるそうで、意外と身近な存在のようです。パニック障害に関しては、かつての自分の同僚にもいたのですが、果たして本作の山添や藤沢が勤める会社の栗田社長や同僚のような優しい接し方が出来てたかと言えば、全く逆だったような気がして、今さらながら反省することしきりです。
話を作品に戻すと、藤沢が山添に対して「お互い頑張ろう」と言うところ辺りから、てっきり2人が恋愛関係になっていくのかと思いきや、全くそんなことにはならず、それでいてお互いを支え合うという関係性が続いたことが、本作を単なる恋愛ドラマではない、ヒーリング効果抜群の人間ドラマにした主因だったように思えました。
またもう一つの本作の特徴は、登場人物がみんな良い人だというところ。現実の世界には中々こうした状況はないようにも思えましたが、何となく観た後に優しくなれたような気がしたのも本当のところ。ヤクザ映画を観た後に肩で風を切って歩くのとは逆の効果が、本作にはあったように思えます。
俳優陣では、やはり主役の2人、山添役の松村北斗と藤沢役の上白石萌音が、非常に良かったです。普段は極々普通なのに、一旦パニック障害やPMSの症状が出てしまうと、人柄が豹変して別人のようになってしまうところをメリハリを付けて表現していました。また栗田社長役の光石研も、過去に弟を自死で亡くしたという心の傷を抱えつつも、2人を暖かく見守る役柄にピッタリの演技でした。
BGMについても、マッサージ店などで掛かっているようなリラックス出来るヒーリング音楽が掛かっており、これも癒し効果を増していたように思えました。
最後に、内容には関係ありませんが、監督や出演者の舞台挨拶が全国の劇場に配信された回に観に行くことが出来ました。三宅唱監督は、敢えて説明をしない映画であると言っていたので、少し身構えて観ましたが、そんなに分かりにくい作品ではなく、安心しました。映画館もほぼ満席で、このままヒット作となるといいですね!
そんな訳で本作の評価は★4とします。
優しい映画、原作を読んでからもう一度観たい
大きく感情を動かされたりするということではないのですが、とにかく丁寧に作られていて、登場人物が皆優しくて温かくて、好きな映画だなと感じました。主演のふたりの塩梅とか空気感がすてきです。個人的にはあっという間すぎて、あと2-3時間あっても観られそう。
ネタバレということではないかもしれませんが、藤沢さんがみかんを食べながら歩いているのがなんだか妙によかった。原作もそうなのかな、と読んでみて、今度は夜観てみたいと思いました。
無理しない、誰でもそうだと思うけど、、、
とても優しい映画でした。
パニック障害やPMSは知っていますが、重度だとこれだけ大変たのだと初めて知りました。
私も仕事のストレスでパソコンに向かうことが苦しくて、精神科を受診したことがあります。家族や友人の支えもあって、今はストレスとの距離のとり方を学びました。
精神科に行くのは勇気が必要でした。心療内科とかカウンセリングなど、もう少しハードルが低いと良いのですが。
無理しない、
誰でもそうだと思うけど、
ってところが大切ですね。
また、周りに理解者が1人でもいるとどれだけ救いになるのか。思い知りました。
とても高評価の映画ですが、北斗効果もあるのかもしれません。ちょっと辛いシーンもありましたが、優しくて良い映画でした。
ドキュメント映画のようでした
夜明けはすべての人に訪れる
前作ケイコと変わらぬ世界観でした
素晴らしかった。瀬尾まいこ原作と聞いて、松村・上白石と聞いて、やっぱりもっとメジャーな感じの三宅監督作品かと思っていたのが、予告編がやけに地味だな、と思っていたけど、完全に三宅監督作品でした。前作と同じくフィルム撮影。
原作がどんなものかは知らないですが、この伝えたいもやっとした孤独や光や未来やら人生やらをストレート言わせないで、障害を持つ若者と、それを預かっている経営者の会社での日常が細かく描かれている。職場がプラネタリウムやってるという設定がよく、狭い中と広大な宇宙と過去と未来を立体的に交差させる。男女が主人公であるが、愛だ恋だではない私たちの友情みたいなものがいい。不機嫌でとっつきづらく、初対面ではウザっと思ってた世界が180度変わった瞬間の喜び。
この伝えるべき物語をどストレートに自分の映画文法で伝え切る三宅監督と俳優陣に感銘受けました。
少なくとも会社や上司には説明しよう
PMSを抱える藤沢さんと同僚でパニック障害を抱える山添君の共助の話。
重度のPMSにより職場で爆発し、更に薬の副作用で仕事中に居眠りし、就職して2ヶ月で退職してから5年後、再就職して働く藤沢さんが後輩の山添君に当たってしまい巻き起こっていくストーリー。
最初は病気マウント?みたいな発言もあったけれど、PMSとパニック障害に死後鬱等の誰でもなりうる精神的病を題材に、みんなで受け入れみんなに優しくという感じのお話しですね。
当事者が受け入れられるのは当たり前という意識はないし、自身で決めつけることを否定している描写もあるし、それでいて周りは受け入れて当たり前と醸しているし、まあこれはこれで良かったけれど、何だか妙に世の中がキレイ過ぎて、当事者達の一人相撲感があるような。
進行にしても終盤は優し過ぎちゃって欠伸ものだし。
どうも自分はメンタルが激強らしいので、本当の意味で理解出来ていないんだろうな…今のところ。
見る度に心が綺麗になれる気がする映画
心温まる作品
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