夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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夜が暗いとはかぎらない
非常に優しい作品。
ただ、逆に優しすぎてメイン2人の“救い”へのコントラストが無くなってしまった部分もある。
藤沢が退職した会社含め、メイン2人にキツく当たる人間が出てこない。
序盤に山添が軽く愚痴ったくらいか。
栗田科学では恐らく周知されているのだろうが、そのへんも明示されないから少しモヤモヤした。
萌音さんが見せる自然体のおっとり感と、“スイッチ”が入った時のギャップは見事。
松村北斗も徐々に角が落ちてゆく変化を上手く体現していた。
エンドロールで見せるごくごく平凡で日常的な雰囲気が、全役者から感じられて心地よい。
ただ、モノローグに頼った導入や、文字でのパニック障害の解説などの表現は少々残念。
特定のシーンのためだけに用意されたようなキャラがいたのも勿体無い。
(付き添い係的な藤沢の友人や、ロンドン行きが決まってそのままフェイドアウトした山添彼女など)
黒人の息子なども、この作品にはノイズでしかないと思う。
渋川清彦や光石研もよかったが、個人的には久保田磨希演じる住川さんが好き。
手土産受け取った際の、「気を使わないでいい、でもここの大福好きだから嬉しい」は最高の対応。
同様の悩みを抱える方への肯定や、一定の癒しにはなるが、映画としてはやや物足りない。
こんな作品を待ってたのかもしれない
嫌な人がいない映画
たまたま時間が空いて、タイミングが合ったから見た映画。予告で見たなーくらいの気持ちで鑑賞です。
下町(?)のとある会社での日常、優しい先輩社員さん達に見守られながら働く若者2人のお話です。
口に出すか出さないかは別として、人それぞれ抱えている事は色々ありますよね。そんな当たり前の事に改めて気付かされて、自分の日常の振る舞いは大丈夫か考えてしまいました。
朝ドラは見ていなかったのですが松村北斗君と上白石萌音ちゃんが良いコンビすぎて、途中から2人のラブストーリーになる?とヤキモキしてしまいました笑
それにしても社長の光石研さん、こういう役をやらせたら右に出る者はいませんね。私もこの会社に就職したい!社長の優しい気持ちがそのまま社風になっています。とにかく暖かい良い会社なので、新入社員も伸び伸び育つんでしょうね。
ただ1つ、PMSがあそこまでひどい人を見たことがなく…生きづらさを解消する他の方法があるんじゃないかと思ってしまいました。
人間がますます好きになる秀作です!
ストーリーは、激しい起伏やドラマチックなシーンはありません。松村と上白石も恋愛関係には発展しません。それでも見終わった時、改めて淡々と生きている人間が好きになる秀作だと思いました。松村はパニック障害です。上白石はPMS(月経前症候群)です。この二つの病気は、医学者が名付けたものですが、極論を言って仕舞えば、人間であれば部分的に持ち合わせているものかもしれません。ただこの症状が強い人たちがその病名で呼ばれるのでしょう。ですので、ある意味その人の個性であると言えるかもしれません。しかし、その病気のために辛い日々が続く事を考えると、ただ個性であると済ますことはできません。そんな時の解決方法はなんでしょうか。ひとえに他人を許すこと、自分を許すこと、そして自分を尊敬することだと私には思えました。多くの精神的な疾患は、劣等感が生み出している場合が多いと聞きますが、そんな時こそ自分を許すべきなのでしょう。「そんな自分で良いんだよ!」と。この作品の中では、亡くなった人間への執着を手放す大切さも訴えていますが、この場合も故人に執着する自分を許してあげたらどんなにか幸せかと思いました。人間は過去の因果を持って生まれてきて、悪い因果は消さなければなりません。それを消して幸せになって行くことが、誰しもに課せられた定めかもしれません。泥沼の中から、美しい花を咲かせる蓮花のように、人間は病気や試練や困難を乗り越えた先には、一際美しい花を咲かせられます。そんな一生を誰もが持っていると信じます。明けない闇はないと作品の中でも言われていますが、誰もが幸せになれる種子を持っているはずです。作品の中で淡々と生きる二人が、美しい花を咲かせていく姿に感銘しました。
追記 地球や太陽や星の話がとても素敵でした。
瀬尾さん原作、希望(夜明け)を感じる力作
挫折とか、出自とか、自分の力でどうしようもない状況にあっても、何かのきっかけでその境遇を力に変えていく 瀬尾さんの作品には、いつか立ち上がる、そんな希望を感じるものがたくさんあります 観る前からドリンク剤を飲むような、2時間後には元気になってくるような期待感を持っていましたが、期待通りでした
若く最も可能性を秘め、伸びしろだらけの20代に、逃れられない疾患がわかり、それがガンやケガのようにいつか終わりが来るものではなく、いつまで続くかわからない、それでいて周囲に理解されにくく人間関係も壊してしまう疾患であることがわかった二人
会社に自分の役割・居場所を、自らの能力ではなく簡単には治らない病気によって失っていく無念さ 普段の態度から決して疎まれるはずのない二人のキャラクターは、自ら逃れることのできないところで苦しんでいる そんな自分であっても、自分以外の人の苦しさを共感でき、相手を支援する・支える役割を持てることで、自分の価値・意味を感じ取っていく展開が清々しかったです 私たちが生活のためと思っている「仕事」の中にも、自分が果たしている役割が存在し、その役割に気づくことができれば、苦境の中にあっても自分の価値・意味が見いだされるかもしれない あの小さな会社は、そういった労りあいがあって、(光石研さんの会社だからこそ)尖っている山添君を暖かく見守り、藤沢さんを優しく送り出し、二人各々が自分の価値・意味に気づかせてくれたのであろう
光石研さんの役回りに加えて、渋川清彦さんの暖かな役も嬉しかった
(2月12日 イオンシネマりんくう泉南にて鑑賞)
文句なし!よくぞこの作品を作った。意外と考えさせられる作品
夜明けのすべてを観てきたが予想以上に良かった。
ポイントは3点ある。
まず、松村北斗、上白石萌音の息があった呼吸、セリフが素晴らしかった事。
二人はNHK朝の連続ドラマでの共演もあったが、息があっていた。
次にPMS、パニック障害と今、理解しなければいけない症状を取り上げ観客に
考えさせる機会を作った事。最後に、人間の親切、心の温かさが出たストーリーに
なっていた。ラストも後味がいい。
素晴らしかった。色々考えさせられた。2024年邦画ランキングベスト作品でも
おかしくない。おすすめします。
しゅっとした名前
大人にこそ観てほしい
普段レビューは見るだけなのにこれは語らずにはいられなかった。
実際の病気の人のブログの言葉「生きるのがつらい。でも死にたいわけじゃない」
これがずっと観ている最中胸に刺さってた。
ひと月に数日症状あるだけだろって思われがちなPMS、死ぬわけじゃないけど死にそうになるパニック障害。2人の闇、夜明け前。交流していく過程、表情の変化、会話。
上白石萌音の爆発と落ち込み、松村北斗の虚無感、焦燥感、苦しみ。このふたりは今後日本を代表する俳優になるだろうし、この作品は2人の代表作の一つになるだろう。
登場人物全てにグッとくるセリフや表情があり、全編通して優しさが漂う映画。
彼らのファンは若い方が多いと思うけれど、これは25歳以上の方により観てほしい。皆がちょっとずつできる事はある、優しくなりたくなる映画。
日本の会社ってこんなに優しいのね。
上白石姉妹は萌音より萌歌ちゃんの方が好きなんだけど、そんなのどうでも良いと思いながら着席。
始まってすぐ、社会人成り立ての萌音演じる藤澤美沙、何だコイツ、わがまま放題の自己中すぎるぞ!と思ったら、病気のせいだった。女性しかならないPMS、こんなの初めて知った。もし自分の近くにこんなの居たら感じ悪いよなって思ってたら、その会社辞めて別会社の社員になり5年が経つ。あら、今度は頑張れる会社なのかなって、思ったけど、何にも変わらず、イライラしまくってた。そこで入ったばかりの後輩の北村北斗演じる山添に文句。炭酸水ばかり飲んでないで仕事しろっ!ん、ちょっと待って、一日中、仕事しないで水ばかり飲んでる奴なんてすぐ首になっちゃうんじゃね。と、思ったけど、これ、病気のせいでそう感じちゃってただけなんだろね。ちょっと変な奴だなと思ってた山添は、パニック障害のせいだった。そりゃ生きるの大変だわ。この2人の助け合いがメインなんだけど、凄いなぁって感じたのは、会社の同僚達。2人の病気の事は知らされてないのに皆んな凄く優しく感じた。特に光石研演じる社長の栗田さん。素晴らしかった。この映画を観た外国人は日本の中小企業で働きたくなっちゃうんじゃないかな。プラネタリウムでの最後の仕事もとても楽しかったです。確かに夜が無かったら人類は宇宙に興味を抱かなかったかもね。
モヤっとしたのは最初の数分だけ、後はずっと優しい展開で、とても心を癒されました。
あたりまえで、特別な時間
2時間の上映時間。慌ただしい毎日に、特別な時間を体感じさせてくれる不思議な作品です。
大きな事件も、どんでん返しの展開もありません。
色んなひとが、苦しみ傷つきながらもなんとか前を向いて生きている日々を静かに感じさせてくれます。
主人公のお二人(以前に戦時中の夫婦役を演じている)の空気が本当に自然で、演技を感じさせません。恋愛にもなりませんし、誰かが亡くなったりする場面もありません。仲間が辞めても、当たり前に毎日が繰り返される場面で終幕です。
見終わった後に少々物足りなさもありましたが、時間が経つにつれ心に「ぬくもり」が沁みわたって来ます。
映像にこだわりがあるのか、わざと画質の荒い映像になってます。温かみを感じますが、美しい画が撮れているので、今の時代、鮮明な画でも見たかった気がします。
大規模ロードショー向きではない地味な作品で、興行的には苦戦しそうですが、名作だと思います。
無理しないで
大川景子の編集が良い
人は皆、完璧な生き物ではない。何かしら心身にかけているものがあり、それを怪我や障碍、病などの言葉によって区別、判別しようとする。しかし、その言葉にもグラデーションがあり、人は思い込みによって見誤ってしまうかもしれない。今作はメンタル面での当人の葛藤や同僚たちの助け合いによって病を克服するのではなく、どう付き合っていくのかが問われてくる。惜しむらくはその当人である山添(松村北斗)や藤沢(上白石萌音)の苦しみを理解できない人が現れない、登場人物すべて良い人というリアリティの欠如がもどかしい。こんな快適な職場なんてあるわけないでしょ、というと身も蓋もないが、精神を患う人を蔑む人もまた、言葉で表せない心の疾患があるのだ。そこに “夜明けのすべて” という主題が込められていると感じる。もっと脚本を練り直す余地はある。良い作品を作る意味で原作改変はあっていい、むしろあるべきである。
主演ふたりの演技は印象に残る。さらに大川景子の編集が良い。今後の活躍に注目したい。
朝の光に洗われるような わずかな微笑み
原作未読で映画館告知でよく見たので気になって見に行きました
全体的に静かに物語が進んでいってとても良かったです!染みるように心のなかに入ってきました
病気はすぐには解決できないけど徐々に向き合い徐々に周りの人とも向き合っていくところが良かったな〜
上白石萌音ちゃんの発作が現れる前のスイッチが入るような表情はリアル感ありました
松村くんの徐々に笑顔が出てくるとこ凄い良かった
二人の微妙にズレた会話何気に好きでした😀
友情愛情ではない関係性 同士?みたいな感じがうまく現れていたかと
主役周りを固める役者が渋かった!
会社の人達は町工場のリアル感あって好きでした
淡々と日常が進んでいってあーこのまま終わるのかな〜と思ってたけどプラネタリウムの語り部分が心に来ました 泣けました
上白石萌音ちゃんの優しい語りがまた良いのよ…
世の中には色んな事情を抱えた人がいると思いますが、知って理解してお互いに助け合って生きていくことが大事だと改めて思いました
日常を感じた
それでも夜明けはやってくる
大好きな映画「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督の最新作。またもやあんな優しい映画が見れるだなんて。予告の段階で期待値爆上がりです。主演の上白石萌音は、映画出演が実に4年以上ぶり。久々にスクリーンでお目にかかりました。松村北斗は言わずもがな。今や日本映画を牽引する、実力派俳優となりました。
作風的にそれほどヒットするような映画では無いように思いましたが、初日動員はまさかの2位。公開3日目の本日も60%以上の動員でした。やっぱり、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を岸井ゆきのが手にした効果が大きかったのでしょうか。感想としては、良くも悪くも三宅監督らしい作品であるということ。期待していた通りのものが見れたという点に置いては満足度が高いですが、色々と気になる点があるのも事実。よくよく考えると...とどうしてもなってしまいます。
あの作品は耳の聞こえないボクサーを主人公にしているため、〈静〉の描写がすごく美しく感じたけど、この作品ではどうももどかしい。正直、パニック障害やPMSについてあまり理解出来なかった気がしました。タケシ映画のような、言葉数の少ない作品は個人的にかなり好みで、本作もかなり愛おしくはあったんですが、テーマとしてはそれが仇になっているかなと。恐らく、監督がこの映画で目指したところは理解されにくい病気を少しでも多くの人に知ってもらいたい、ではなく、この映画が彼らにとっての居場所となってもらいたい、では無いかなと思いました。
現実はそう甘くないだろうけど、この映画の中ではホッと安心して息がつける。きっと誰かの拠り所になるんじゃないかな。自分の考えが正しければ、満点の映画に仕上がったと思います。周りが優しすぎるところに違和感はあるけど、居心地はものすごく良かった。16mmフィルムとオレンジがかった映像の言葉では表せない魅力。それでいて、上白石萌音と松村北斗の最高の雰囲気。光石研や渋川清彦のような現実にいて欲しい上司、そばにいる人間の在り方が示されているような人物。こんな世界を見て、心から救われた人は多くいるはずです。
点数低めにしたけど、映像作品としては4.5。気になるところはあれど、いい作品であることには違いないです。夜についてのメモ。社長の弟さんの話がとても胸に刺さりました。ドラマで見たかったなぁ。
ずっと余韻が残って心がまぁるくなる映画
どの人にも抱えてる何かがあって、そこに想いを馳せながら山添くん藤沢さんと一緒に私も心を緩めていった感じでした。激情をあらわにしたりドラマ的な盛り上がりをさせず表情や声色、行動の変化が心に迫って泣けました。
山添くんがじわじわと目の力を取り戻して心が柔らかくなっていく過程が自然で「気がついたらこんな顔で山添くん笑ってる…!」と私もニコニコしながら涙が。
自分の中にある厄介で手に負えないものをお互い理解しあっている。互いがしんどいなと感じてる時にさっと手を差し伸べる。心許せる関係。だけど恋愛ではない。
おそらく山添くんと藤沢さんが一緒にいた期間は半年くらいではないか。その短い間の出来事はきっと2人とも一生忘れないだろう。
自分のことを理解してくれる人がいる。
それだけで人は支えになるしあったかい気持ちになれる。
三宅監督の言う「余白」を何度も見て味わいたい。
発作を起こして会社を早退する山添くんの心もとない歩き方に松村北斗の役への潜りの深さを感じ、食べ残しのポテトチップを筒ごとかき込む上白石萌音は山添くんに心を開いている藤沢さんそのもの。
この若い2人の演技力のもの凄さ、そして共演の光石研、渋川清彦をはじめとした俳優陣が皆素晴らしかった。
ラスト近くの山添くんが「栗田科学に残ります」と言ったシーンで辻本さんと同じタイミングで泣いた。きっと私もあの世界のどこかにいて、同じように励ましたり励まされたりしているんだろうな…。
心を癒しに何度も映画館に足を運びたいと思います。ずっと余韻が残って心がまぁるくなる。こんな素敵な映画、なかなかないです。
夜明けのすべてとは言えるか?
最初、藤沢さんが主役でPMSに悩む彼女の話と思っていた。
そして山添さんと知りあい、パニック障害の彼と仕事をこなす為に相手の病状を理解して一緒に病気に向かい合う。
山添さんは藤沢さんの病状を理解して、相手を助けてあげて少しでも互いに力になる。
そして山添さんは彼女がロンドンへ転勤して、藤沢さんも田舎に介護しに帰ったとしても、彼の病状は夜明け前の手がかりを掴んで将来は明るい。というのを松村北斗さんの最初の頃の顔と最後の顔の表情の違いですべてを物語っています。だから途中から二人が主役で、最後は山添さんが主役になっていました。
けれど、私生活、仕事場、親兄弟など、まだまだ彼山添さんにはいろいろな出来事がすべて良くなるってわからないまま不完全燃焼する話でした。
上白石萌音さんの演技は良かった。松村北斗さんの演技も良かった。話は広がる話でなかったので、感動とかはしなかった。
考えさせられるかといってもどうしようという衝動もなかった。
何か訴求してくるのを映画に求めている自分にはモノ足りない作品でした。
生きづらさと無縁の人ほど観るべき良作
予告から、心の病気をもつ人々のヒューマンドラマを期待して鑑賞してきました。なかなか見応えがあり、本作を通して初めて知ることもあり、多くの人に観てほしい作品だと感じました。
ストーリーは、PMS(月経前症候群)のため定期的に情緒不安定になる藤沢美紗が、そのせいで前の会社を辞め、今の会社に転職してしばらくした頃、同じように転職してきた山添孝俊の些細な行動にまたもや腹を立ててしまうが、彼もまたパニック障害を抱えて悩んでいることを知り、自身と似たようなものを感じた二人は、互いの存在に少しずつ救われるものを感じるようになるというもの。この二人の関係に恋愛を持ち込まなかったところが、本作の価値を高めていると思います。
恥ずかしながら、PMSというものを初めて知りました。生理に伴うということで人には話しにくく、知らない人も多いのではないかと思います。そうでなくても、自分の持つ病気はなかなか口に出しにくいし、とりわけ心に関する部分は外見からもわからないので、周囲も気づきにくいと思います。もしかしたら自分のまわりにも、心の病気で苦しんでいる人や大きな苦しみや悲しみを抱えている人が何人もいるかもしれません。もっと心を開いて話せる雰囲気が生まれ、互いにわかり合えるような職場や社会になるといいなと感じます。
そういう意味では、藤沢と山添の職場は、一つの理想形だと思います。二人の持つ病気を理解し、必要以上に踏み込まず、それでいて温かく包み込むような職場の雰囲気がすばらしいです。藤沢がこの会社に勤め続けることができているのは、まさにそのおかげだと思います。そして、山添との出会いも、彼女にとって大きな支えになったのでしょう。苦しみを慰め合うのではなく、助け合って前に進もうとする様子が素敵です。一方の山添も、転勤した頃の無愛想な態度が和らぎ、心を開くようになり、元の会社に戻ることをやめ、この会社に残ることを決めます。藤沢との関わり、同僚との出会い、離れても親身に寄り添う元上司のサポートが、彼の心を少しずつ解きほぐしていったのでしょう。
そんな二人の絆や生き方を象徴するかのように、プラネタリウムが印象的に描かれます。中でも、プラネタリウム上映中に藤沢が語る「夜の暗闇があることで外の世界に気づくことができた」という言葉がとても印象的で、なんて素敵な考え方だろうと思いました。暗闇の中だからこそ見える星があるように、苦しい時だからこそ気づけるささやかな優しさがあるのです。「夜明け前がいちばん暗い」のなら、星の瞬きのような優しさは、最も苦しい時ほどたくさん降り注がれているのです。そして、それらすべてが夜明けへと繋がっているのだと、本作のタイトルが伝えているような気がします。
主演は、松村北斗くんと上白石萌音さんの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」ペアで息ピッタリ。脇を固めるのは、光石研さん、りょうさん、渋川清彦さん、芋生悠さん、藤間爽子さんら。中でも、渋川さんの演技が秀逸で、思わずもらい泣きしてしまいました。
今回は上映後に舞台挨拶中継がありました。萌音さんはコメントの端々から優しい人柄が伝わってきたり、光石さんは栗田社長同様に現場を和ませていたという話が聞けたり、三宅監督は強面の見ためと違って周囲への感謝と気遣いを忘れない手紙が素敵だったりと、作品に負けない温かみのある舞台挨拶でした。
原作とは全く違う話。
公開を楽しみにしており、小説を読んでから行きました。
小説を読んでいる間、心が震える瞬間がいくつかあったのですが、そこは全く映像化されていませんでした。
設定も変えられており、あくまで映画用になっているのかなと。
栗田金属という社名から栗田科学に。夜明けのすべてというタイトルの伏線を回収するためにプラネタリウムを持ってきたのか…?
好きだった倉庫でのシーンや、草むしりのシーンも別のものに変えられていてショックでした。
まず小説の方が元上司との距離感がリアルで共感できていましたが、今でも付き合いがある描写。
おまけに上司も暗い過去を抱えているという余計な設定…この辺からもう観るのがつまらなくなってしまいました。
大好きなお守りのシーンもただ藤沢さんがポストに入れるだけで、それに対してのアクションは全くなし。
それなら神社に行くシーンはいらないのでは?
自転車も、藤沢さんが押し付けたことになっていましたが実際は違います。そこに至るまでの過程が良かったのに、全く違うものになっていました。
おまけに母親が病気で退職するという設定も…
映画用に書き換えられててすごくガッカリしました。
原作を読んだ際、本当に松村北斗と上白石萌音がぴったりだと思いました。
実際2人の演技を見て、藤沢さんも山添くんも素なのかと思うくらい自然で引き込まれました。
症状が出るシーンは2人ともうますぎて、過呼吸のシーンに関してはこちらも引っ張られそうでした。
キャスティングがよかっただけに、脚本と設定がとても残念です………
原作を読んでいなければ、こういう話として受け入れられ楽しめたと思います。
別物のお話だと思えば、面白かったんではないでしょうか。
全439件中、321~340件目を表示