「心地いい余韻が残る作品」夜明けのすべて たーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
心地いい余韻が残る作品
藤沢さんと山添くんはお互いの病気(障害)のよき理解者となっていくけれど二人がそうなれたのは周りの人たちの程よい距離感と優しさもあってのことだと感じた
印象的だったのはまず山添くんの表情の変化
はじめは思うようにならない自分の心と身体に常に不安げな表情で周りの人のことが目に入らないくらい自分にいっぱいいっぱいでいわゆる空気の読めない人だったのが藤沢さんと話すことで徐々に心の余裕ができていって表情が柔らかくなっていくのを松村北斗が見事に演じていて演技というよりは山添くんそのものじゃないかと思えるくらい自然な変化だった
あと周りに気を使いすぎて頻繁に会社にお菓子の差し入れを持ってくる藤沢さんに対して住川さん(久保田麿希)のセリフで「こういうことが決まりになっちゃうのは良くないから」といった後に「でも私ここの大福好きよ」って言ったのがものすごく優しくて心に響いた
あと山添くんの元上司の辻本さんが山添くんがプラネタリウムの企画を嬉しそうに話して今の仕事が楽しいっていうのを聞いて「本当に良かった」って涙ぐんだたのも印象的だった
辻本さんはお姉さんが自死で亡くしているから山添くんのことをすごく心配して気にかけていたからのほっとしたうれし涙だったのかな
山添くんの彼女が藤沢さんに「あなたのような人が近くにいてくれて安心した」って言うのも素敵だなって思った
普通なら嫉妬の感情も沸く展開なんじゃないかと思うのに彼女なりの寄り添い方なんだと感じた
観終わった後ずっとそれらの場面や言葉を思い出しながら温かい気持ちでいられる作品でした
住川さんの言葉、本当に素敵でしたよね。
彼女さんが敵愾心を抱かないのは、萌音さんの柔らかな雰囲気あってこその説得力でした。
(歩きみかんに違和感がないことも。笑)