「救われました」夜明けのすべて 玉響さんの映画レビュー(感想・評価)
救われました
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藤沢さんのPMS対策として作中で出てきた方法のどれも、私自身試したり、取り入れたり、失敗したりと、とても共感するもので、映画を見ながらどこか藤沢さんが”私”に思えてなりませんでした。症状の度合いや種類は千差万別で、藤沢さんとは違う症状を持つけれど、たしかにそこにはPMSに悩む”私”がいて、これからは、誰にも話せないまま孤独に症状に耐えているのではないと思うことができて嬉しかったです。
山添くんが「お互い」に違和感を覚えるシーンでは、病気が違えば症状も違い、できることできないことも違う、同じ病名だとしてもその症状は個人によって全く違う、今苦しみ悩んでいるときに他者からひとまとめに頑張ろうと括られて、ひっかかる心情が痛いほどよく分かりました。一方で藤沢さんの言う「お互い頑張ろう」も間違っていない言葉だと感じます。山添くんが藤沢さんと話すようになっても、「お互い」の件を藤沢さんに謝罪しないでいてくれて、どちらの意見・感情が正しくてどちらが間違っているかを決めない作品で個人的にすごく良かったと思いました。
山添くんの表情が晴れやかなものになっていったり食べ物を美味しいと言ったりしても、最後まで電車や飲食店の屋内に入る描写はなく、藤沢さんのPMSもなくなるわけでもない。エンドロールのその後もそれぞれ抱えて暮らしていく一人と一人がいる。
自分自身は大きな世界のなかの小さな一人であることはこれからも変わらないですが、手元に温かくて優しい光をポンと乗せてもらえた気がしました。
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