劇場公開日 2025年3月22日

「服に対する関心の薄さ」ノーバディーズ・ヒーロー タカシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0服に対する関心の薄さ

2025年3月22日
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鑑賞方法:映画館

ギロディはフランス国内の批評家からはとても高く評価されているらしいが、日本ではアテネフランセ、アンスティチュ・フランセなどでしか観られなかったがその理由も頷ける。要するに服に対する意識というか関心が異様に低い。映画なんてビジュアルアートなんだからどれだけ嫌でも服に凝ってしまう。おしゃれ映画じゃなくたって、コンセプトなどで表現される。フランス映画の着こなしを参考にするのが好きだからフランス映画を観る人も少なくない。それなのにこのギロディは服に対する関心がとても低い。低いというか意図的に服を評価から排除している。服で加点されるようなことはあってはならないと考えているような拒絶の仕方。ゲイ映画文脈とも聞いていたのでカラフルだったり、キャンプなセンスがあるのかと思うと全くない。この硬派な態度が批評家から愛されているのかもしれない。それとデブ専・デブセンスがとても優れている。性愛をイケメンや美人などの商品化された美意識に基づかないワイルドなものとして捉えるこの硬派さも評価されるのかもしれない。だけれど観客を圧迫したりするような攻撃性として表現しないのも不思議だ。ユーモアとおちょくりを含むデブって面白い、ゲイって面白いのような軽薄な態度をされても構わないような風通しの良さも面白い。

タカシ