「【セーフティネットの綻びから地に落ちた家族の詐欺行為を、中年女性が一度は通報しながら救いの手を差し伸べた理由。今作は1組の貧しき家族と1組の哀しき想いを抱えた中年夫婦の善なる相互補完の物語である。】」高速道路家族 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【セーフティネットの綻びから地に落ちた家族の詐欺行為を、中年女性が一度は通報しながら救いの手を差し伸べた理由。今作は1組の貧しき家族と1組の哀しき想いを抱えた中年夫婦の善なる相互補完の物語である。】
ー 最初は、高速道路のサービスエリアに寄生する家族の物語かと思ったら、全然違った・・。-
◆感想
・今作は、2組の家族の相互補完の物語である。
1組は父、ギウ(チョン・イル)が大学中退後に(ハッキリとは描かれないが)詐欺に巻き込まれ、経済破綻した妻ジスク(キム・スルギ)と10歳の娘と5歳の息子の4人家族である。
もう一組はコレマタ、ハッキリとは描かれないが幼き子を失った中古家具店を営むヨンソン(ラ・ミラン)と、ドファン(ペク・ヒョンジュン)の中年夫婦である。
ー 今作の脚本は結構粗い。全くもう!。けれど、それを補完する健気な子供達の姿。-
・最初は、ギウが高速道路のサービスエリアで、見知らぬ人に”財布を落としてしまった。2万ウォン、貸してくれませんか?”と言って詐欺する姿をコミカルに描いているが、たまたまジスクに二度会ったがために、急展開していく。
ー 1度目は、ジスクは2万ウォン+娘に5万ウォンを渡している。そして、子供達を複雑だが、愛おし気に見るのである。-
・ギウが警察に拘留された時に、参考人として警察に出頭したジスクは、行き場のないジスクと子供達に”家に来ない?”と声を掛け、中古家具店の奥の部屋に彼らを住まわせる。
ー フラッシュバックの様にヨンソンの脳裏を過る男の子の姿に、彼女がジスクを招いた理由が分かって来る。-
・ヨンソンに対し、”アイツらを店から追放しろ!”と言っていたドファンも、夫婦げんか後に店で酒を呑んでいた時に、TVから流れた家が全焼した人への補償金のニュースに対し”税金の無駄遣いだ!”と言っていた若者と喧嘩になり、留置所へ。
ー ドファン、良い奴じゃない!-
■一方、どうしても家族に会いたいギウは、警察署を脱走してヨンソンの店に来るが、ヨンソン達とジスクは楽しくバーベキュー中。
そして、ジスクからは”私達はここの家族になると言われてしまい・・。
<今作は、韓国のセーフティネットの綻びにより、底辺生活をしていた家族と、哀しき想いを抱えながら暮らしていた中年夫婦の2組の家族の相互補完の物語である。
火事になった時に、身を呈して身重の妻ジスクを守ったギウの姿と、今では幸福な生活を送っている娘ウニが、手紙で父を想う言葉がナレーションで流れるシーンは、沁みたなあ。>