「断片的ホームビデオ」aftersun アフターサン uzさんの映画レビュー(感想・評価)
断片的ホームビデオ
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父娘のバカンスの様子が描かれる本編は、非常に退屈です。
面白い会話も驚くような事件も起きない、何の思い入れもない赤の他人のホームビデオ。
父と同じ歳になった娘が見ている、という設定を知らなければ。
しかし、それを知っていても眠気を誘います。
抑えたBGMに取り留めのない会話、明滅するクラブのインサート、長めの暗転など、ワザとかと思うほど。
カラムへ「11歳のとき将来どうなってると思ってたか」と訊いたり、年上に混ざろうとするソフィ。
ソフィの質問を拒絶したり、時折奇妙な行動を見せるカラム。
徐々にこういったズレが表面化していく。
だらけながら雑誌を捲るソフィと、必死にギプスを切ろうとするカラムの壁越しのカットが象徴的だった。
海の闇へ消えていくシーンは、現実かイメージか、はたまた未来の話か。
何にせよ、カラムは命を絶ち、ソフィは再会することができなかったのだろう。
だが、ビデオ外の一人の姿まで見た観客にすら、その心の内は明かされない。
ソフィは結局、「分からないことが分かった」だけではないのか…
自分に分かるのはこの程度です。
少なくとも、退勤後のレイトショーで観る作品ではありませんでした。
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