劇場公開日 2024年11月29日

「そこ、ボカシ要る?」オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版 poliさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0そこ、ボカシ要る?

2024年12月8日
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鑑賞方法:映画館

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20年前に、仕事の都合で川口オート徒歩圏内に2年ほど住んで以来、オートレース好きになった者の感想。
当時の森選手は、レーサー歴7年目の若手でした。普通に他の選手と混じって走っていましたが、背の高さは一つ抜け出ていました。

この映画では、酷いケガからの復帰にスポットを当てて時間を割いているが、実は養成所時代にもケガして、同期よりデビュー戦が少し遅れ、最初から脚の可動域に難があったりするのです。しかし、周囲の選手が感心するほど、整備も練習も熱心な姿勢だったようです。

映画に登場した同期選手が、なぜか遠い山陽オート所属の2人。同じ川口所属で口の達者な若井選手(猪木信者)や永井選手(元船橋)に語らせたら…と思いましたが、面白く喋りすぎて映画監督の演出方針とは『違う』と思われたかも。
(もっとリラックスした同期話は、YouTubeで「オートレース 25期 トークバトル」で検索して見ていただければ。)

森選手以降、オート選手の採用基準が変革して、元二輪レーサー(世界GPやモトクロスからトライアルまで)や元ボクサー、元スケート選手なども参入するようになり、客層も多様化したと思うので、そういう流れもドキュメンタリー映画の中で触れてもらいたかった。
何より、レース映像の右上に表示される、他の選手名にもボカシがかけられていたのは、他のオート選手たちの中で築き上げた森且行選手の立場までぼかしているようで、蛇足に思えた残念ポイント。

オート選手として長年S級として活躍し、運も味方につけてやっとSG日本選手権が穫れたタイミングと、J事務所没落の時期が重ならないと、作れなかった作品だよな…とも思うので、J事務所の威光に忖度していた、キーTV局というモノの責任棚上げ感と共に「アレもコレも深さが足りない」映画には思えた次第。

映画は2週目にして、1日1回上映に減らされているが、森選手は今週も伊勢崎のG2戦に出走しているし、年に100走以上レースしているので、オート公式チャンネルから、ぜひレース観戦もして欲しい。
ちなみに森選手、冬場に強く、雨でも乗れるので、ご参考までに。

poli