劇場公開日 2024年4月5日

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「勝ち気な女」パスト ライブス 再会 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0勝ち気な女

2024年10月6日
PCから投稿

相手を翻弄する女の人がいる。
じぶんは男だから、女の人は反発するかもしれないが、自由奔放でサクッと思い切ったことをする女の人がいる。
たんに男と女のちがい、ともいえるし、めずらしい現象でもないが、ナイーブな男は、そういう女に振り回されることがある。

映画はよかった。初監督となる新人だが日本の新人監督とは別物。しかるべき場所でしっかり映画を学んだ痕跡のある映画だった。事実あちこちで賞をとりアカデミー賞でもノミネートされている。(作品と脚本。)

が、ノラ役のGreta Leeには強気な女の気配が濃厚で、顔も性格の印象も伊達公子風で、是非はともかく苦手な女だった。

女心と秋の空というが「regretへ引き寄せられる気分」というのがあると思う。それは男にもある。なぜか本心にそぐわないことをしてぶち壊しにする。それは若気とも言えるが、名状しがたい気分でもある。

男女がいて、ふたりの理想があって、そこへ突き進んでいるときに、このままではいけない気分がこみあげてくることがある。とりわけ自律心が旺盛な人orストイックな人は、安楽モードに居るとき、むりやりハードモードへ軌道修正しようとする癖がある。

だから「わたしは立身したい、こんなんじゃだめだ、もう交流しないほうがいい」ということになる。映画でよく使われる活発な女の定番構文であり、この映画内にもほぼ同等の会話があった。

男には、離れたがっている女にすがりつきたくないというプライドと、すがっても拒まれてしまうのが怖いという臆病さがあって「きっと君が正しいと思う」と同意する。

そのとき学校帰りの三叉路がフラッシュバックして、そこからふたりの人生は別々になった。

やがて、月日を隔ててみると、まだノラはヘソンに想いがあって、とはいえ良人に不満はないが、とはいえじぶんの結果はなんだったのかと思って泣く。そうなることは解っていたし、自分が選んだ道だし、心は千々に乱れる。それが「regretへ引き寄せられる気分」。

人生には大なり小なり「regretへ引き寄せられる気分」によって本心とは別のことになっていることがある。誰にもあるであろう、後悔するのは解っているのに、やってしまったこと──がこの映画の哀感になっていてそれは大いに共感をおぼえた。

しかし映画の冒頭からしてテストの得点でノラがヘソンに負けたから泣くという、ノラの負けず嫌いをあらわす描写だった。概して負けず嫌いは一生ものの気質であり、よって映画の出来は確かだったがノラのキャラクターがじぶんの情けない過去や、気が強かったあの人、を思い出させるのが嫌だった。笑

imdb7.8、RottenTomatoes95%と93%。

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津次郎