「自前の洗礼、自前の信仰、自前の名前」ミツバチと私 jinminさんの映画レビュー(感想・評価)
自前の洗礼、自前の信仰、自前の名前
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性別に違和感を持つ8歳の主人公は、バカンスで母の故郷を訪れる。おちんちんをきれいした後の男児への授乳、身体的な成長への言及、自己紹介、プールになど性別を明らかにしないといけないシチュエーションが続き、プールのトイレで母親に怒りを爆発させる。
ベッドに入るたび不安を吐露し、自分には名前がないと大叔母に告げた彼女が、「女の子のペニス」を肯定してくれるが大叔母や友人のニコとの自前の洗礼を経て、信じるものを確信する自前の信仰を得て、「ルシア」という自前の名を獲得する。
ともすれば自己を抑圧しかねない宗教から、信仰という力を抜き出し、自分を解放するというところに感動させられた。
また、世間体だけを気にする父親、「性別は関係ない」という一見リベラルな言葉で子供の性別違和から目を逸らす母親に、失踪という実力行使で「ルシア」という本当の名を呼ばせ、巣箱のハチに対して「ルシア」と自己紹介するシーンは特に素晴らしかった。
悩みを打ち明けず閉じこもるシーンではじまり、「パパみたいになりたくない」「なんで私はこうなの」「私の妊娠中に何か問題があった」の」という自分の存在への不安、ラストシーンの母親への微笑みへと、節目節目をベッドでの告白シーンでつないでいたのも印象的。
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