「名前を呼んで欲しいだけなのに。」ミツバチと私 hanakoさんの映画レビュー(感想・評価)
名前を呼んで欲しいだけなのに。
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どうして私達は「生きているだけ」を受け止められないのだろう。
性自認に悩む子供。
オトナの言葉ではその一言で片付けられるし、それだけでなんとなく分かった気にもなってしまうけど、そんな言葉を持たないまだ8才のアイトール、ココ、ルシアは、名前を呼んでほしくないとか、その服は着たくないとか、プールはイヤ、ママと一緒に女子更衣室が良い、かわいい水着が着たいとか、そんな行動でアピールするしかない。
私達はわかっているから、自分でも処理し難い感情をぶつける先が無いし、上手く言葉にできずぐずるしかないんだろうなと、引いて見ることができても、親や親戚という立場だったらやっぱり、なんでなんでと問い詰めてしまうし、そんなものは子供の一過性の感情なんだからまともに受け止めるなと言ってしまうかもしれない。
でもたった一言、みんなが「ルシア」と呼んでくれたら、それだけで、もしかしたら、救われるのかもしれない。
性が求める外観を押し付けられ、それに抗いながら成長してきた自分には、なかなか辛い映画だった。
この先、現実世界でもこのような例は増えていくだろうし、なんなら一緒に育った子供達の方が性の壁をふわりと乗り越えていくのかもしれない。
死んだら女の子に生まれ変われるか?と聞いた子に、あなたはもう女の子、しかもとびきり可愛い、と言ってくれたおばさんに、心の中でスタンディングオベーションを送っていた。
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