「完璧主義からは程遠い」ザ・キラー 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
完璧主義からは程遠い
デヴィッド・フィンチャーの映画を観る上で最初に楽しみなのは期待を裏切らないオープニング映像で冒頭からテンションも上がりながら肝心の中身には裏切られてしまった感が拭えない、娯楽性を排除しながらも所々に雑な演出が見え隠れ、全編で流れる意表を突いたようなThe Smithsの楽曲群が心地良くも断片的で気持ち悪くなる感覚、家路に着いたら真っ先にフルで聴いてストレス解消!!
入念に用意周到な序盤、哲学のように語り始める主人公が物静かな雰囲気の中で言い訳じみた単におしゃべりな男にも、ソコで失敗する!?
まるで終盤の『ジャッカルの日』から始まる本作のようで?ジャームッシュの『リミッツ・オブ・コントロール』をフィンチャーが撮ったらこうなりました?的な??
暗殺者は名ばかりで依頼主不在の復讐による殺しが大雑把に、全ては自分の失敗が招いた、劇中でこなした仕事はゼロ、何をするにしろ器用でスムーズな展開に序盤の失敗が信じられない訳で、フィンチャーの作品群の中では一番シンプルで気の抜けた、後々にカルトな作品と受け止められるかも、しれない気もするが。
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