「我々は「監督の思い」を見ることができるか」サイド バイ サイド 隣にいる人 加田瀬恋さんの映画レビュー(感想・評価)
我々は「監督の思い」を見ることができるか
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本作にはいくつかのテーマが込められているが、その中でも登場人物たちが抱える「光と闇」という側面が重要である。
主人公である未山(坂口健太郎)は、「光」の象徴である。その特徴として、冒頭から一貫して白い服装であることや、周囲の人々から頼られていること、迷子の牛を何度も導いたことなどが挙げられる。
一方、未山の元カノである莉子(齋藤飛鳥)は、本作における「闇」の象徴である。その特徴として、未山とは対照的に黒い服装であることや、未山と再会した際に部屋を真っ黒に塗っていたことなどが挙げられる。
しかし両者は、詩織(市川実日子)の家で過ごすうちに、それぞれの役割を交代している。未山にとっては、詩織が求める照明を一緒に探すこと、莉子にとっては美々(磯村アメリ)と交流することが転換点である。最終的に、莉子は黒以外の服を着るようになり、未山の席は莉子に取り付けられた新しい照明によって照らされている。
その他の要素として、「美しさ」や「自然」、「牛の役割」、「詩織は未山と異なる光であること」などが挙げられるが、一度にそれらを理解するのは困難である。
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