「これまでのこと、これからのこと、薄日が差してくるような静かな希望」アンダーカレント グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
これまでのこと、これからのこと、薄日が差してくるような静かな希望
セリフも音楽もそれぞれのカットも、物足らないと言えば物足らない。つまらない、というのではなく、どれもこれも素材としては抜群なのに、何もかもが塩をかけたくなるほど薄味で慎ましやかなのだ。
過剰な演出とは無縁(リリー・フランキーの探偵さんだって、あれほど面白いのに、雰囲気はあくまでも、ふんわりとしている)。
それなのに鑑賞後は、これまでの人間関係のあれこれ、特に配偶者との関係性に思いを馳せることになる。
オレは妻のことを本当に分かっているだろうか。
分かろうとする努力をしてきただろうか。
こういう人だ、と自分にとって都合の良い解釈で決めつけていないだろうか。
(職場の同僚や友達には、実際以上に〝怖い妻〟として印象づけて、付き合いを断る時の理由にしてますが、それとこれとは別のこととして🤭)
来し方(つまりこれまでの接し方)については、ほろ苦さを感じるとともに、行く末(リタイアから死ぬまでの長いのか短いのか分からない老後の生活)については、まだまだやれることはたくさんあるかもな、と相手を思い遣る時間があることに気付かされ、暖かい気持ちになりました。
もし、製作側がこの映画を、〝泣かせ〟狙いでいこうぜ❗️
と安易に流れて作ったのならば、どのシーンも、もう二言三言会話を加えたり絡ませたり、或いは、ハグや泣き顔などの肉体的な感情表現を演じさせたりしたと思います。
敢えて、それをしないさせない脚本と演出に徹し切った監督やスタッフの覚悟と実力を心からリスペクトします。
自分のことすらよく分からないのに、人のことが本当に分かるのか?
いわゆる〝自分探し〟に迷ったり、時間を使ったりするくらいなら、まずは、身近な人のことについて、分かっているのか、分かるとはどういうことなのか、と
立ち返ったほうが、きっとたくさんのことが見えてくる。
ありふれた日常に、静かな希望が満ちてくるような素敵な映画です。
共感ありがとうございます。
キャストかぶりに囚われてしまい、じっくり観られていませんでした。皆さんのレビューやコメントを見ると、ああ!と思う事が多い、いつもありがとうございます。
こんにちは。
今作、久しぶりで脳内フル機転で観た映画でした。
私は、家人の事は分かっていると思っています!という自信が無くなって来ました。
夜、へべれけ状態の中、枕で圧死させられて検死では不審死で保険金を全額持って行かれるという恐ろしい夢を昨晩観ました・・。怖いよお。では。返信は不要ですよ。
グレシャムの法則さん
コメントを頂き有難うございます。
確かに、改めて考えてみると、『 心地いい嘘 』と『 善意 』とは重なり合っていますね。
人は内面を全て曝け出している訳ではない、そしてそれは『 嘘 』という訳ではない、この作品への理解が、より深くなりました。有難うございます。
美紅さん、こんばんは。
永山瑛太演じた悟は、『ある男』で戸籍を買った男と部分的には繋がってると思います。自分を偽らないと生きていけない。きっと、そう感じてる人は、現代日本には、想像するよりたくさんいるのだということなのですね。
コメントありがとうございます。
そうなんですよ、泣かせにいかない抑制された演出がとてもよかったです。
リリーさん最高ですねー。囲碁のネクタイ、私も気になりました。
本筋とは関係ないのですが、JTのCMに出ている井浦新が演じる堀が、銭湯を手伝う女性やタバコ屋の親父とタバコを介してコミュニケーションを取る姿が、今や絶滅したタバコのCMに見える瞬間がありました(笑)。
おはようございます😃
コメント、共感、ラストシーンの解釈もありがとうございます♪
皆さんのレビューみて、原作の終わり方をしり、映画はその後がかかれてあのシーンなんですね!