「殺し屋ってもっとシンプルでいいと思う」ジョン・ウィック コンセクエンス KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
殺し屋ってもっとシンプルでいいと思う
仰々しい組織のルール、そもそも全体像がはっきりしない組織の仕組み、ポッと出の旧友と侯爵、豪華すぎる舞台。
鮮烈な戦闘シーンと強烈なビジュアルの楽しさを持ってしても全体的に乗り切れない、微妙なアクション映画になってしまった。
前作から世界観を大きく広げ、国を跨ぎに跨いで集大成とも言える舞台を整え上げた今作。
流石に要素が多すぎるのと広すぎるのとであちこちに気が散ってしまい、どれもしっかり受け止めるには中途半端で、テンション高く没頭できなかったことが本当に残念。
別に同じことの繰り返しでいいのにな。派手派手な前作はわりと好きだったけど、最後にこうなってしまうくらいなら、削ぎ落とし研ぎ澄ましでアクションシーンを際立たせて欲しかった。
組織のしがらみや人間関係の妙を味わうには薄すぎ、見た目で楽しむには流血が足りず、合間のストーリーが無駄に思える。
急に出てきた旧友キャラにどう感情を乗せろと?2作目くらいからチラチラ顔出しといてよ。
あと日本人ってやたら尊く殉死させられがちじゃない?悲しいよ。
そういうことじゃないんだよ!というのは重々承知なんだけど、私がアクション映画に100%ハマりきれない理由ってやっぱりこういうことなんだろうなと改めて感じてしまった。好みの問題。
初作を観たとき、やっとアクション映画でこんなに興奮できる作品と出会えた!と思って嬉しかったのに。
好きな作品がシリーズを追うごとにだんだん解釈不一致になっていく現象、辛い。逆に前作はなんで楽しめたのかわからないくらい。
詩的でゴージャスな言い回しの多いバワリーがただのスーツ配達係にしかなってなかったのが残念だった。
せめて最後の決戦は立ち会ってくれよ…何なのよあの謎の犬飼いだけやたら付いてきて。お前関係ないからデカい顔して座ってんなよ!
あと侯爵はファッショナブルすぎるよ!
それでもやはりアクションシーンの瞬間的な興奮度は高い。
ネオン煌々のジャパンは最高だし、シマヅもアキラもケインもかなりエッジ効かせてキマりきっていて非常に良かった。
座頭市リスペクトの闘い方とあまり意味なさそうなピンポーン好き。盲目ならではの台詞回しが好き。アキラの戦闘ファッション好き。
ゲームのような真上からのショットには感動すら覚えた。俯瞰で全体を見せることで誰がどんな動きをしているか全て見えるのが面白いし、迫力は下がってもスリルがある。
ジョン・ウィックシリーズにおいて、様々な国の訛りの英語を聞けるのが細かい楽しみでもある。
北欧訛りの侯爵がずっとパリにいるのは何でだろうと思いつつ、なんだか興奮するのよね。
ベルギーのクラブにいたすごいデブの話し方も良かった。
最後にジョン・ウィックが墓に入ってるのもなかなかに衝撃だった。
いやそこで死ねる体してないでしょあなた。本当に何のためにあんなに闘っていたのか。
国から国へやたら飛び回っていた今作。
カットの間にきちんと搭乗手続きして飛行機に乗って狭い機内の中座ってボーッと外見たりしてたのかな〜なんて考えるとちょっと間抜けで面白い。
いやそもそも通常の搭乗手続きはしないのかな。あのえげつない越境移動、どうしてたんだろう。