「みーんなグロテスク…かも?」シック・オブ・マイセルフ uruさんの映画レビュー(感想・評価)
みーんなグロテスク…かも?
かつて出会った事のある人々を思い出し、今彼女たちはどんな人生を送っているのかと思い巡らせてしまった。
とにかく自分を特別なものに見せたくて、話す言葉、立ち居振る舞い、眼帯や包帯の小道具に至るまで、自分を表現できる全ての手段を使って叫んでいたように思う。
私を見て と。
見てもらって、さてその先に何があるのか。
この映画の主人公には何もなかった。
その事実がとてつもなく残酷でグロテスクで、観終わった後はなんとも居た堪れない気持ちにさせられる。
巷に溢れるSNSの投稿は、今日も「私を見て」の叫喚で溢れかえっている。
誰に、何を、なぜ、見てもらいたいのか?
それを答えられる者は、おそらく彼や彼女たちの中にはいないんだろうな。
私にもわからない。
ただ、彼や彼女たちをエンタメ代わりに画面越しで観ている自分が、この病気の一因なのかもとはうっすら気づいている。こんなふうに我を失わない自分で良かったと、そう安心するために、彼らには叫んでいてもらわないと。
なんてグロテスク。
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