「Darker than Black」岸辺露伴 ルーヴルへ行く マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
Darker than Black
岸辺露伴
荒木飛呂彦作
「ジョジョの奇妙な冒険」
シリーズ第四部の舞台
杜王町に住む漫画家
週刊少年ジャンプに
「ピンクダークの少年」
を連載しており
リアリティ追及のために
なんでも自分で試す変人で
性格は他人を見下す
俺様スタイルで
相当めんどくさい人だが
一定の倫理観は持っており
好奇心と芸術家らしい
気骨に溢れている
どちらかというと
荒木先生自身が
露伴を気に入っている
感じで主人公にした
スピンオフで
数誌で発表された短編
(およびTVドラマ)
「岸部露伴は動かない」
の長編が今作
どうだったか
相変わらず高橋一生の
変人キャラ表現は絶妙で
ただでさえ変な人しか
出てこない作風の醸し出す
雰囲気は大スクリーンでも
健在でした
しいて言えば造り自体も
あまりにドラマのまんまで
拍子抜けってとこは
ありますが
(16:9で画面端切れてるし)
そんな細かいとこは
気にしなくても
面白かったです
菊池成孔氏の音楽が
作り出す澱みも
相変わらず最高
漫画の取材で絵画に
興味を持った露伴
絵の具の具材探しから
オークションにも参加
どうしても満足のいかない
黒の表現に対し
そこに出てきた真っ黒な絵
に興味を持ち落札
するとその絵画を
奪いにくる謎の連中に
巻き込まれますが
その連中の一人は
幻覚に侵され
変死を遂げます
すると露伴はその
真っ黒な絵から
「この世で最も黒く邪悪な絵」
を教えてくれた存在を
最初は忘れていたものの
漫画家になったばかりの
頃に出会った「奈々瀬」
という女性を徐々に
思い出していきます
その絵の存在を求めて
ルーヴル美術館に飛ぶと
膨大に収蔵された美術作品の
中でも「見捨てられた倉庫」
Z-13倉庫にそれはあると
うさんくさい辰巳という男や
学芸員や警備の消防士らと
ともにそこへ向かうと
そこには存在が知られれば
大騒ぎになるという
フェルメールの絵画
辰巳はこれは偽物だと
笑いますが露伴はこれは
(私の見解では)本物だと
看破しここに贋作を作らせ
本物を中に仕込んで辰巳ら
一味がルーヴルから
運び出していた事実を
突きつけると
その倉庫の奥にあった
真っ黒な絵の方を
向いた辰巳らは自分たちが
怯えるものを幻覚に見て
精神崩壊していきます
そして露伴がその黒い絵を
注意を払って見ると
そこには漆黒の黒髪を
纏った奈々瀬の姿が
あったのです
このシーンは下手なホラー映画
並のゾクゾク感がありました
その黒い絵を描いたのは
山村仁左衛門という
絵師の家系の長男坊
自由奔放に絵画の可能性を
追い求めるあまり家からは
勘当され最愛の妻奈々瀬の
漆黒の黒髪を再現できる
具材を追い求めていた
ところで奈々瀬がふと見つけた
御神木の樹液が最高の
黒を実現したことで
目途は立ったものの
奈々瀬の病気とその治療の
費用の工面のために家に戻ることを
土下座してまで懇願したが
御神木の樹液を使っていた
事を密告され奈々瀬は死亡
仁左衛門は只ならぬ恨みを込め
奈々瀬の姿を描いた怨念の
こもった絵を残し絶命
という壮絶な事実があったのです
奈々瀬はそんな夫の無念を
伝えるかのように現世を彷徨って
いたのでした
映画全体は菊池成孔の音楽と
相まって謎めいた世界観そのままに
最後まで引き込まれますし
高橋一生も本当にハマり役
抜けているようで肝心なとこで
マトモなことを言うキャラも
飯豊まりえはうまく演じていました
そして木村文乃もホント良かった
数少ない漫画の実写化の成功作と
言っても過言じゃないと思います