「ブラック工場描写が辛い」映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ ふわふわな綿毛になりたいさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラック工場描写が辛い
過去作を見てすみっコぐらしに最近ハマった新参者です。
過去作はいずれもサブスクで見ただけなので、映画館で新作を見ることをとても楽しみにしていました。
結論から申し上げますと「見て後悔した」というほどでもありませんが、少なくとも私がすみっコぐらしで見たかったものでは無かったかなぁ……という気持ちになりました。
レビュータイトルがその感情に至った主な原因なのですが、もう少し詳しく言いますと
・「本日のMVP」と言ってすみっコの中で格差を設けるシーン
・過剰な労働により疲弊していくすみっコ達
……辛い。
もう字面だけで辛い。
辛い。
(幸い、すみっコ達はマジで心優しい命なので、他人の設けた指標によって他者をけなしたりはしないのはよかった。そもそも勝手に作った指標ですみっコを縛るな!とも思いますが)
ちいかわみたいに元から物騒な世界観なら分かるんですけど、すみっコぐらしってこんな世界観でしたっけ……??
ちいかわ達は元から労働している描写が作中にありますが、すみっコ達にはあまり労働しているイメージが無かったので、違和感を覚えたのかもしれません。
だってどう考えてもすみっコ達って資本主義で生きてないじゃないですか。
「彼らはどうやって日々生活しているんだ…?」
「なんの金でおばけの喫茶店で茶シバいてんだ??ツケ…?」
とか、考える話じゃないじゃないですか。
「労働」ってもうすみっコの存在と対極じゃないですか……?
一応子供向けに作っている映画として判断しますが、すみっコ達が楽しそうに仕事をこなす姿を見て「お仕事って楽しいんだよー」みたいな表現をしたかったのかもしれません。
が、にしてはあまりに仕事の描写(しかもブラックめ)が生々しく(朝早くからのラジオ体操・ノルマがある・標語がある・売れる案を考える)、またすみっコ達は朝起きるのもあまり得意では無さげなので、見ていて「楽しそう」という気持ちに私はなれませんでした。(というか結局オチとしてはとんだブラック工場なので、こういう口先だけ調子がいい工場に引っかかるなよ子供たちよ、と言った方向性の意図だったのでしょうか?)
また、今回はしろくまがメインの映画で、しろくまが寒がりな理由など、しろくまに関する新情報がさらっと出てきます。自分が新参者なのでしろくまって家族いたの…?知らんかった…と思っていたら新情報らしいですねこれ。
しろくまとぬいぐるみの話好きです。というかこの映画の根幹はもうそこです。
原型をとどめない程つぎはぎになりながらも、彼と過ごした思い出をしろくまとそのご家族はずっと持っていたのだな……と思うと涙です。
が、しろくまといったらふろしきですよね。ふろしき出番無さ過ぎじゃないですか!?
ふろしきのポジションを全てぬいぐるみに取られた印象です。
とんかつとえびふらいは勿論、とかげとにせつむり、ねことざっそうも仲良さそう・微笑ましいシーンは多々ありましたし、なによりしろくまがメインの話だというのなら、もっとしろくまとふろしきの仲良さそうなシーンが見たかったです……。
良かった所としては、スプリンクラーの水がかからないようとんかつが前を歩くえびふらいに傘を傾けてあげてる所と、クマ工場長の真実判明シーンと、いきなりのカーチェイスとEDです。
物語として見た場合、注文の多い料理店的な微笑ましく?も不気味な世界観の物語としては悪くはないのですが、私はすみっコぐらしに「癒し」を求めているので、やはり物語の大半を占めた強制労働シーンがキツかったです。