「「本を読むということ」を描いている」丘の上の本屋さん ゆちこさんの映画レビュー(感想・評価)
「本を読むということ」を描いている
イタリア中部石造りの街を舞台に、古書店の老店主リベロのもとに行き交う人々を描く。
読書家ゆえ身に付いたと感じられるリベロの博識さや優しさ、人となりがこの映画のすべてかもしれない。カフェ店員ニコラを友人として想い馳せるシーンは言葉選びに読書家としてのリベロらしさがあって特に美しかった。
イタリアの人たちの感情表現が豊かなあまり、段々と表情や声色で伝えたいことの片鱗を字幕なしで感じ取れるようになっていく変化も新鮮だった。
個性豊かな古書店に訪れる街の人々を通じて、本とのさまざまな接し方に触れられる。そして本の前では年齢も性別も国籍も重要ではないし、その壁すらも超えられると感じることができる。
登場人物が役割的で人物描写やエピソードの深みがなく物足りなさを感じるけれど、人物以上に古書店に主体があると割り切ってる感じ。
イタリア文化に触れられるのんびりとしていて心が落ち着くという視点ではたまにはこういうのも見たいなと思えた。
本好きより本を読まない人にこそ人生が動くきっかけが得られる気がしている。そういう視点で意義深い作品である。
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