「戦国時代の海戦をテンション高く再現!」ハンサン 龍の出現 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
戦国時代の海戦をテンション高く再現!
文禄・慶長の役(朝鮮の役)の朝鮮水軍VS日本水軍のバトルを描いた海戦映画。思えば近代の軍艦ではない時代の海戦映画ってあまり観たことがなく、思い出そうとしても『マスター・アンド・コマンダー』は艦隊戦という規模ではなく、平家物語の壇ノ浦か、古代ギリシャにまでさかのぼる『300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜』くらいしか観たことがない。
基本的に主人公は朝鮮の英雄・李舜臣なのだが、李舜臣と対決する側の脇坂安治(個人的には脇坂陣内という呼び名の方が馴染みがある)をはじめ日本人側にもかなりの尺を取って描いていて、最後の政治的メッセージを含んだセリフを除くと、ほぼ互角の武将と武将が相手を認め合いながら激突する、戦争映画ならぬ戦場映画といっていいと思う。
武将や侍など、日本人の役は韓国人の俳優が演じているのだが、ヘタでもなんでもちゃんと日本語で演技をするぞ!という気概が凄まじく、全員の熱演もあって妙なテンションがみなぎっている。さすがに聞き取りにくいからか、劇場公開時はかなりのスクリーンで「日本人の役は日本の声優が吹き替えたバージョン」が上映されていたが、ちょっとオリジナルの音声でも観ていただきたい。
あと美術や造形がかなりしっかりしていて、日本軍の天守閣を乗せたような安宅船が再現されていたり、伝説の亀船が大活躍したり、まあ見ているだけで面白い。歴史的に正しいかというと、どうも規模感をかなりマシマシにしているようだが、時代考証はさておき珍奇で熱い海戦アクションとして楽しめる。
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