劇場公開日 2023年3月17日

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「日韓を対等に描く誠実さには好感が持てるが、日本人俳優が出演していないことに対する違和感が残る」ハンサン 龍の出現 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日韓を対等に描く誠実さには好感が持てるが、日本人俳優が出演していないことに対する違和感が残る

2023年3月29日
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豊臣秀吉の侵略から朝鮮を救った英雄、李舜臣が主人公の物語なので、極悪非道な日本人が出てくる反日映画なのだろうと思って観たが、あに図らんや、朝鮮側と日本側が対等に描かれていて、その極めて誠実な製作姿勢に驚いた。
日韓双方の海戦への備え、作戦の立案、情報・諜報戦、そして海戦の推移と指揮官の判断等の描写からは、真珠湾攻撃を日米双方から描いた「トラ・トラ・トラ!」を思い出してしまった。
それどころか、敵であるはずの脇坂安治が、知略に長けた猛将として描かれていて、主役の李舜臣にも負けない存在感を発揮しているところに、韓国映画の「懐の深さ」すら感じてしまった。
ただ、そんな「敵ながらアッパレ」な日本人を、なぜ日本の俳優が演じていないのかというところは、どうしても気になる。
韓国の俳優が、皆、時代劇風の日本語の台詞を一所懸命話して熱演しているのは分かるのだが、この国際交流の時勢に、日本人の俳優を1人も出演させていないというのは、何か意図があったとしか思えない。
もしかしたら、そんなところで日本に対する「意地」を見せたのかもしれないが、そう思うと、少し複雑な気分になるのである。

tomato