「ウォーキング・テッドに比べると…」劇場版 君と世界が終わる日に FINAL bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ウォーキング・テッドに比べると…
竹内涼真主演で、テレビ・ドラマとしてシーズン1が放映され、その後Huluでシーズン4までを配信されたゾンビ・サバイバル。本作品が、竹内涼真が主演してきたシリーズの完結ということで、それまでの配信ドラマを全て観た上で、遅ればせながら鑑賞。
感染ウイルスによって生まれたゴーレムによって、突如として廃墟となった世界が舞台。希望や夢を失い、その日を生き抜くだけの人々の苦悩と闘いを描いた本シリーズ。しかし、本当に怖いのは、ゴーレムよりも傲慢で、高慢な人間であるということを訴えかけてくる。しかしそんな中でも、僅かな望みとなった愛する人を想う人間らしい感情こそが、作品の根底を流れているテーマであると思う。
ゾンビ・サバイバルの本家本元と言えば、10年以上に渡りシリーズ化された『ウオーキング・デッド』。自分も大ファンで、あの長いシリーズを2度鑑賞。ということで、どうしても本作と『ウォーキング・デッド』を比べてしまい、その違いに粗さを感じ、興醒めする部分も多々ある。ゾンビとなったゴーレム自体の、特殊メイクやVFXはもちろん、あんなにも素早く走って追いかけてくるのは、リアリティーがなさ過ぎる。また、間宮の武器である弓矢は、ダリル・ディクソンと重なる部分もあるし、ストーリー展開においても、容易に出会ったり、脱出できたりしていたのは、ご都合主義の展開。
とはいうものの、Huluでは、新たなキャストで新シリーズも配信され、自分も観ているわけだから、人間関係の鬩ぎあ合は、ゴーレムとの闘い以上に、サバイバル・ドラマの面白さなのだと思う。間宮と未来の親子愛や大和と葵の愛情物語、それと相反する『ユートピア』の研究所の首藤シンジと西条玄に対する憎悪、等がバランスよく物語の中に演出されている。
ラストシーンは、それなりにグッとくるものもあり、あのくらいに全てのゴーレムにも特殊メイクを施して欲しいと思った。
竹内涼真にとっては、5年に渡って主役を張ってきた思い入れの大きな作品となったことであろう。また、葵役の堀田真由は、今本当に、テレビや映画に一番出演している売れ時の女優。その素朴な美しさに魅了される。そんな中、嘗て子役だった須賀健太が、狂気的な研究員を演じていたのは、意外性もあり、時の流れを感じた。