君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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どうして私の夢を知っているの?
「千と千尋の神隠し」のとき、そう思ったが、また同じことを思った。
「風立ちぬ」の時も今回も、タイトルから内容を誤解していた。違うと知って遅ればせながら観たが、有無を言わさぬ美しい映像に引き込まれた。内容も難解というほどではなく、いつものジブリアニメだった。
もともと背景の絵の趣味が泣けるほど好み。幼いころからどこで知ったのか、あの異国・異界の情景を何度か夢で見て、なかなか眠りにつけない夜は、ベッドの中で布団を被って空想を膨らませた。実際に外国へ行けたのは20歳過ぎてからだというのに。
日本だと北海道の野付半島を思わせる神秘的な光景がよかった。
宮崎駿さんが世に出る前から好きだったあの世界。日本の風景も交えてすばらしいアニメーションとにしてくれて、久石譲さんの大好きな音楽をつけてくれる。本当に感謝したい気持ち。
実はジブリアニメの人物造形がちょっと苦手だ。いつも判で押したように元気で勇敢な女の子と、男の夢を具現化したような清楚で優しく、しかし芯は強い女性や男勝りな女性が出てくる。なぜか歳を取った女性はゴブリンにされてしまう。
今回はアオサギが圧巻。清々しいほど憎々しい。ダミ声なので、途中まで菅田将暉だと気づかなかった。
声は主役の男の子が固くてもったいなかった。「千と千尋の神隠し」の時も千の言い回しが上ずっているのが気になったことを思い出した。なつこさんも割と棒読みだった。
タイトルなし(ネタバレ)
母を亡くした少年が、不思議な世界に迷い込み戻ってくるってのがストーリーのプロットだが、この世界、宮崎の内面で、これを打ち壊して、新しいものを作る!って宣言した映画だと受け取った。ひどく、私的な映画なので、受けないと思っていたが、アカデミーを受賞したのが意外だった。アメリカの人もいろいろということでしょうか?
じいさんのマスターベーション、勘弁してください。
アカデミー賞受賞も納得の映画。但し,、、、。
アニメ作品は私の鑑賞対象にならない。大評判になっているのに、それを観ないのは映画好きな人間の沽券にかかわるので、見ることにしている。アカデミー賞長篇部門賞を獲得したので、観てみた。
自然描写の美しさに驚いた。アメリカのアニメーションは全くと言っていいほど見ていない。映画館の予告編で流れるディズニー系のCGで作られるアニメなど、私に言わせれば、阿呆らしくて見る気持ちにもならない。言葉は悪いが、お子様向けの映画である。
もちろん、アメリカにも大人の鑑賞に耐えるアニメーションの映像作家がいるに違いない。しかし、儲からないから映画配給会社も二の足を踏んでいるのだろう。資本主義社会に生きているので、諦めるしかない。
さて、この作品だ。その自然描写の美しさにうっとりとさせてくれる。細部にわたり宮崎監督の目が入っているに違いない。彼がいなくなったら、日本のアニメ界はどうなってしまうのだろうか。そんなことを私に想像させる。
だか、この作品の背景、世界観、宗教観は独特で一度見ただけでは理解できなかった。私には何回も観ないとわからない作品に感じる。誰かに教えてもらいたいぐらいだ。
映像は素晴らしいが、ちょっと残念な部分も
米アカデミー賞を切っ掛けに鑑賞しました。
前情報を見ていた分恐る恐る観ましたが、特に難しいと感じることはなかったです。至極単純でストレートな物語。ちゃんと台詞やストーリーを追っていれば分かるかと。冒頭の炎の映像が素晴らしく、少年の疾走感や焦り、慄く人の声が緊張感をもたらし、また緑豊かな自然や田舎の町並みが絵画のように美しくて、大きなスクリーンで見れてよかったと思った。芸術作品と海外の観客が言っていたのも頷ける。
物語は、深層心理の世界で少年眞人が次第に感情を見せるようになったり、言葉数が増えてきたりするのがよかったし、中盤の「母さん帰ろう」の辺りは、一緒に気持ちが高ぶってうるっとしてしまった。突然放たれる本音は痛くて辛いけれど、隠されたままじゃなくてよかったとも思った。青サギやワラワラもユーモアがあってジブリの可愛いキャラクターにクスッと笑える。
ただ、すごくすごく残念なのは、一部違和感……というかあまりにも演技が下手な声優さんがいて、そのキャラが出てきてからは途中途中意識が散って物語に集中できなくなってしまった。キャラの口と台詞が合っていないのを観るのは、何十年振りだろうか。いいんだ、あれで……と、ちょっと愕然としてしまった。
私は主に昔のジブリが好きで、さらにアニメ好きでもあり、声優好きでもあります。だから映像、ストーリー、そして声の三つがちゃんとそろって素晴らしい!と納得できないと、なかなかひとにお薦めすることができません。それだけが残念でした。
平和への祈りと贖罪
終盤に登場するお爺さんが仮初の平和(崩れかけた積み木)しか作れなかったのは、現実の大人たちが真の平和を達成できなかったことを示している。そして自傷する主人公のように汚い人間である我々も、それを継承してすぐに達成することはできない。ただ平和について思いを馳せ、行動を起こすうちに変わることがあるかもしれない。主人公が積み木をひとつ持ち帰ったように、私自身もメッセージを受け取って持ち帰った。「君たちはどう生きるか。」
描写は賞賛、企画はやや不足
日本公開時には、内容がまったくわからずレビューは酷評ばかり。とゆう事で観るに及ばすでした。御多分に洩れず受賞理由を知りたくて観るはこびです。
よく出来てます。内容は好みで別れるところでしょう。宮崎駿監督作品で私の好みは、未来少年コナンや天空の城ラピュタです。なので今作はまあまあ中の上。まさに世界観の話。マトリックスとか。なぜ?を言い出したらキリがないので割愛。描写、表現は、いつも通り宮崎駿ここにありでした。わたしのようなSF好きからすると、プロットに新しさを感じない。展開にうねるようなダイナミックさが無い。などおもに企画、ストーリー的にやや不足でした。描写も慣れちゃったんでしょうね、宮崎駿テクニックに。つねに進化をつづけないと。
どう受け取るかは自由だけれど、かなり強烈な内容です。
アニメ業界に生きるクリエイターへ向けて、業界への痛烈な批判とともに、これからどう生きるのかを問うた、かなり強烈な作品だと思います。
若きクリエイターの卵であるワラワラは、同時に素晴らしい作品のアイデアの卵でもあり、大切に育てないと巣立っていけない、まだまだか弱い存在。
先人の作品からの影響でこの業界に入ってきたペリカンは、自分では食べる術がなく、望まないにしても、これから巣立とうとする汚れのないワラワラを食い物にするしか生きていくことができず、高くも飛べず、別の世界に行こうとしても戻ってきてしまい、いつしか遠くに飛ぶことさえも忘れてしまった悲しき業界の人々。
ボツになったアイデアやネームの墓場に群がり、ずる賢く自分は矢面に立たず、騒ぎ立て、誰か(眞人)を押し付け焚きつけ、無理矢理扉を開かせ、それに近づこうとする。
大半の人は生ける屍の、ただこの業界で働くだけの存在となり、眞人が礼をすれば、生気なく礼を返す、毒にも薬にもならない存在で、自分たちでは稼ぐことができないので、人が獲ってきた獲物の分前を静かに待っている。
規律正しく、団体行動もできる礼儀正しいインコは社会人の見本のような存在だが、迷いのない瞳で、自分たちの行いに一切の疑いを持たず、実社会では見かけよろしく糞を撒き散らし、この世界では、食べていくことが正義で、常に刃物を持ち、人を傷つけ飯の種にすることしか考えていない。
こんなアニメ業界で、君たちはどう生きていくのかと。
本来なら、夢や希望を与えるアニメーションを作る現場が、夢ある人を食い物にし、やる気のない人が蔓延し、作る人への批判や中傷が公然と許され、己が正義かのような振る舞いをし、平気でモノ作りの現場に土足で踏み入る、そんな悪意に満ちた世界で、どう生きるのか。
自分たちが去し後、この悪意に満ちた世界を、誰が立て直してくれるのか。
児童文学を愛し、わかりやすい、商業的な作品を作り続けた宮崎駿が、これまでの説明的な手法を一切排除し作り上げた、広告業界、制作現場、マスコミを含めたアニメ業界全体への警鐘なのでしょう。
自伝、自叙伝を文章ではなく、アニメーターらしくアニメーションで、業界への痛烈な批判とともに、自らの功罪をも認め、人間の強さや優しさ、弱さや狡さを描き続けた、宮崎駿の業界への思いの丈をぶちまけた、最後のメッセージに相応しい作品だと思います。
事前広告も、ポスターのみの特殊なマーケティングだと言われていますが、一般の人に向けたメッセージではないので、そうしなかっただけでしょう。
もう二度と映画を作ることはないのでしょうね。。
いや、それとも、石をひとつポケットに入れているというのは、まだアイデアがあるという暗示なのでしょうか。。
題名が全て、そこに尽きる。
アカデミー賞受賞と知り、久しぶりに映画館へ足を運びました。ジブリ作品は元々好きだが、大人になり仕事をし、手軽にサブスクで何となく面白そうな作品をダラダラ見る毎日を過ごす中。そういえば、映画を観る機会も減ったと感じた今日この頃。
予備知識ほぼ無し、少しの好奇心と観た後に何かを変えてくれるような期待の中いざ映画館へ向かう。
まず結論から言うと、明日にでもまた観たいと思える作品でした。考えが止まらないと言いますか。人生観にクリティカルヒットしました。
戦時中、幼い主人公が母親との死別から始まりますが、これはズルイですよ。
ええ、勿論すぐ泣きましたよね。(こういうの弱い人はハンカチ必須ですね)
とにかく、どのシーンで泣いたのかなんて覚えてないくらい何度も泣いてしまいました。
私的に印象深いシーンは、大お爺様の諦めの入った老人特有の瞳の色。(なんでやねんって聞こえる笑笑)
老ペリカンの瞳のドロっとした暗さ。
いやいや、人生って瞳に出るんですよね。ほんと。それが伝わるくらい描かれていると思いました。
あとは、母親の病院が燃えてると聞いた後の主人公が階段を降りる姿。もう、感情が先につっ走ってますよね。激しさだけで泣けましたよ。
炎の中走る姿は胸がギュッと締め付けられて苦しかったです。ハァハァ‥。
キリコが船で帆を操る躍動感も何故か印象に残ってます。最後の波?を越えたら静かになるよっていうキリコのセリフは、まるで人生を例えるかのような哲学的なものを連想しました。
主人公が父親の工場で作った特攻機のガラス枠?を見た時に、綺麗だと言ったセリフは恐ろしかったです。
石で頭を傷つけて親を動かし、登校拒否を叶える最短ルートを導き出せる子なので、理解した上での綺麗だという発言でしょう。
そして、色んな葛藤や矛盾が集約された瞬間が、夏子さんに大嫌いだと言われた時の主人公の気持ち。爆発的なあの一瞬で、頭の中で色んなことが巡って巡ってたどり着いたのが、お母さんという言葉。
すごいよ、少年。大きな壁を乗り越えたのね。私はまいったよ。
ああ、思い出したらキリがないくらい色々考えさせられる部分があって楽しいです。
そして、この映画で一番好きなところは、悪役がただの悪役じゃない所ですね。
人間の善悪、矛盾、多面性のあるキャラクターが本当に良かった。
特に、狡猾で傲慢で少しひん曲がっていて、臆病で少し抜けてて泥臭く、根は優しいけど現実的、お調子者で自由に生きている青サギがなんだかんだ1番魅力的だと思いました。
下の世界の住人なのか現実世界の住人なのか?
一見、綺麗な青サギかと思いきや、グロテスクな生き物に変貌し、曖昧で奇妙でなんとも不思議な生物。
でもそれは、私たち人間の事なのかもしれないですね。
主人公が現実世界へ戻って来て、向こうの世界の石を持っていたから記憶が残っていた。
でもいずれは忘れてしまうだろう。という最後の青サギのセリフが尾を引きます。
辛い事も良いことも、いずれは記憶が薄れて忘れていく。
心が引き裂かれるようなトラウマや過去の栄光が忘れられなく執着していると前には決して進めない。
そうして忘れられるからこそ人は前に進んでいける。
いずれは誰もが必ず辿り着く死へと続く道へ歩みを進めていく。
その死を迎えるまでに、私たちはどう生きるのか?
仕事と家事の繰り返しで変わり映えのしない日々。危機感のない贅沢な暮らしを貪っている日々。どうにかせんとなぁ。
少し考えたら気持ちがピシャンとなったような気が。
題名の通り考えさせられました。
また考察とかも色々巡って更に考えてみます。
宮崎駿監督、本当にありがとうございました。
ようやく鑑賞。映画館で観れてよかったー
アカデミー賞、長編アニメーション部門をあの、アクロスザスパイダーバースと一緒にノミネートされて受賞という大快挙。観るタイミングを逃していたが、再上映で最良の環境で鑑賞出来るチャンス。という事でようやく鑑賞。最初から最後までジブリ、宮崎駿祭りでとても楽しかったしワクワクした。コレを映画館で観れる幸せ。途中、置いてけぼりになってしまった箇所が何箇所かあったが総じて大満足。やはり宮崎駿の描く絵、描く世界は唯一無二なのだなーっと嬉しいやら誇らしいやら寂しいやらで最後のエンドクレジット、手書きで書かれた関係者達の名前の最後、宮崎駿 の名前を見た瞬間に落涙。一人の日本人が作った偉大な作品達の最期を見せて貰った様な気がした。この作品は何度も観てあーだこーだと好きもの同士で好き放題に語り合いたい。正直。スパイダーバース越えは無理だろ。っと思っていたがコレはコレはなかなか。凄く良い!アカデミー賞受賞も頷ける怪作、良作、感動作品でございました。そして鳥映画でもありました。インコ、キモかわー!
宮崎駿の集大成に思えます。
「よく分からなかった」という感想が多かったので、理解できるか少し不安だったのですが、結論から言うと私にとっては本当に素晴らしい作品でした。
観終わったあと、感情が昂っているうちに書き留めておこうと書きなぐった文なので、おかしなところがあったら申し訳ありません…💦
もし、真人が後任になっていたら
もしかしたらもっと平和で、良い世界だったのかもしれない。
けれど、真人はあえて元の世界で、「この世界」の「自分」が変えていくことを選んだ。
「真人」は「わたしたち」なのだと思う。私たちは、どう生きるか。そういう問いかけであり、次世代への宮崎駿なりのバトンなんじゃないかと感じた。
真人の世界(私たちの世界)は残酷で、辛い世界だけれど、真人自身が変えていこうと願った世界。
結局、誰かの力で世界が全て平和になるわけがなかった。真人と、私と、世界の全員とで頑張っていかなきゃならない。
世界のバランスを保つ『軸』は消えてしまったけど、それが無くても、どうしたって世界は存在してしまうのだ。だから、私たちが、「自分たちの手で」変えていかなきゃいけない、そういう映画なのではないだろうか。
構成についても。
最初は真人があまり喋らなくて、どこか浮世離れした世界に感じられたけど、どんどん真人が喋りだし、正体不明だった謎のアオサギも実は小物なオジサン(笑)だった事がわかり、何を考えているのかよく分からなかった夏子さんの本心も物語が進む事に判明した。
どんどん(段階的に)現実として考えられるようになってきて、最後はかなり真人に対して感情移入していた。すごい構成力だ。
別世界の物語が、どんどん現実世界の物語になっていった。だんだんと「私たちの物語」になっていくのが凄いと思う。
本当に、これが宮崎駿。宮崎駿感しかない映画だったなあと思います。
確かに、難しい部分や、「え?あれ、どうなったの?!」という所がいくつかありましたが、元々ジブリ作品はそういった難しい表現が多いので、私は深読みの材料として受け取りました。
本当に素晴らしかった。個人的にみんなにオススメしたい作品の上位でした。
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