「素晴らしかった」君たちはどう生きるか あま・おとさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
素晴らしかった。
過去の作品から想像していたものより、かなり良かった。良い意味で裏切られた。
熱い思いが伝わってくる作品だった。
大人になっていく眞人は、何を心に抱いて生きるか。それは多分、宮崎駿という一人の作家が今まで心に抱いてきたものであり、今後も抱き続けて生き抜くのだろうと思われるものだ。
ひとの人生を貫く哲学。そこには大抵それなりの重みと深さがある。そして彼の場合、それは作品を見ればわかるように、ピュアで真面目で美しいものだということは間違いない。
人間の心の美しい側面をここに描き止めてくれた。
眞人の(宮崎の)繊細で豊かな感受性が捉えた世界は、ここではアニメを通して、より美しく(時により醜く)、のびやかに、より印象的なものに形を変えて見せてくれる。
それにより、そうだ…そういえば世界はそういうものだったのかもしれない…と、はっとさせられる。
作品の終盤に近づくにつれ、社会的な立ち位置についての作者の理想が伺えると思う。そのあたりについては、立場の違いや好き嫌いは様々ありそうだ。でも…たとえば、ゴッホが好きな人がいれば、ルノアールが好きな人もいるのは当たり前だ。そして、ゴッホが好きな人がルノアールの良さを認め敬意を払う、または逆のことがあっても、矛盾はしない。
わたしも、この作品はとても良かった、と素直に言いたい。その美意識とひたむきさに敬意を払いたい。
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