「この世は一つであることを連想させる作品!」君たちはどう生きるか 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
この世は一つであることを連想させる作品!
この作品は、宮崎監督の中にある創造の炎が散りばめられていて、見応えがとてもありました。とはいえ、私たちの生きている3次元の世界では、少々ストーリー無視なところがあるかもしれません。それでもあらすじはあります。少年の母が亡くなり、家族が引っ越して、父がその母の妹と結婚します。引っ越しした屋敷の周辺で、少年が青鷺に導かれ地獄と天国の世界を冒険するというものです。それでもかなりの抽象度ですから、見る人によってはまごつくのでしょう。それが、この作品の評価を下げているような気がします。地獄の世界、天国の世界、現実の世界を行き来する登場人物たちを見ていると、それぞれの主張が勝手に動いて言っているのですから、分離感は否めません。それでもジブリファンにとっては、10年ぶりの宮崎監督作品ですから、それぞれのシーンにリスペクトを感じないはずがありません。七人の使用人のお婆さんたちの動きを見ていると、かつてのジブリ作品を彷彿とさせてくれます。また、人間が現実世界に生まれる途中で、ペリカンが食べてしまって生まれないというシーンは、魂を食べているようで怖い表現だと思いました。さらに、主人公の少年に世界平和を託す異世界を創造する大叔父のセリフもかなり唐突ですが、監督の世界観の必然的な表現なのでしょう。海外でどうして高い評価なのかを考えますと、宮崎監督のこれまでの実績なのだと思います。あと、この作品にしかけられた東洋思想的(仏教)な生死感の秀逸さなのかもしれません。いずれにしても、宮崎監督の世界観をダイジェストで見ているような感覚に、感謝しかありませんでした。
共感ありがとうございます。
オスカー獲っちゃいましたね、「マイナス1」の山崎監督は今、露出凄いですが、宮﨑御大はへそ曲がりを貫いて今作以上の構想を思い付いた時、初めて始動してほしいです。