「宮崎駿フォロワーの感想」君たちはどう生きるか 映画太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿フォロワーの感想
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映画の導入部分と序盤は掛け値なしに素晴らしかった。テンションの高さとコンセプトに向かっている感覚は70歳を越えた作家とは思えない(制作期間7年なので現在は80歳を越えられている)瑞々しさがあった。中盤以降の展開はよく言えば自由奔放なイメージ。別の言い方をすれば取り留めのない複数のアイデアの複合体。私は宮崎監督の代表作品は千と千尋の神隠しだと考えているが(好みは初期のカリ城やラピュタだが)ハウルの動く城から目立ち出した中盤以降の構成の迷走が今作では顕著に出ている。ある種、千と千尋で宮崎監督の中にあったテーマが昇華されて以降の作品は新しいテーマを模索しているとも見れるが、これまた自由なポニョを経て、風立ちぬで再度しっかりした構成の作品を世に出した事に当時は驚いた。
今作を観るにあたって、1番興味があったのは高畑勲亡き後、宮崎駿は誰に向けて映画をつくるのかという事。鈴木P曰く、宮崎駿は高畑勲という1人の観客に向けて映画を作っているのではないか。今作は監督の本意は別にして結果的に自分という観客に向けた内省的な作品になったんだと思う。抽象的な作品はそれはそれで良いのだが、私が宮崎駿に求めていたのは教養とか批評とかネタなんかを内包したままねじ伏せるほど強力な娯楽性、みんながわかって楽しめる物語だった。
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