劇場公開日 2023年7月14日

「一族の私的な大冒険」君たちはどう生きるか しんぐちゃんぐさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一族の私的な大冒険

2023年7月20日
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鑑賞方法:映画館

先週公開された映画「君たちはどう生きるか」を鑑賞した。10年前に引退した宮崎駿が82歳になって製作した本作は、宣伝を一切行わないという宣伝を行ったため、自分は吉野源三郎の同名小説が原作と勘違いしていた。

吉野源三郎の小説は中学1年の時、地元の学習塾で小説家崩れの講師からプレゼントされ、夢中で読んだ記憶がある。あれから間も無く40年。映画はコペル君と叔父さんの交換日記ではなく、監督お得意の冒険ファンタジーだった。

宮崎駿が人生の最晩年に何を考え何を表現するのか、それはそれで興味深い。年寄りばかりが登場し躍動する本作は、過去の作品のオマージュと言うかパロディと言うか、集大成的な構成ではあるものの、次世代へバトンを託す意欲は感じられた。

また、舞台を戦中に設定しているが政治的・社会的な問題には踏み込まず、広大な宇宙空間や生命の死と再生を描きつつも、一族の私的な大冒険が最終的には子孫繁栄に収斂されているのも印象的である。

映画の評判は芳しくないようで「訳が分からない」とのコメントが目立つ。確かに訳が分からない。しかし、理解の容易な作品が好まれる昨今、あえて突っ込み所が多く、多角的で自由勝手な解釈を可能にしつつも、言わんとしている事は伝わる。

だから、自分は楽しめた。そして、これで終わりじゃないだろう。

しんぐちゃんぐ
かせさんさんのコメント
2023年8月13日

自分も、また次作の登場を楽しみにしてます。

かせさん