「宮崎駿さん、ごめんなさい。」君たちはどう生きるか RAIさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿さん、ごめんなさい。
今までのレビューで一番書くのが難しいかもしれない。
ストーリーうんぬんの映画ではなかった。いろんな解説レビューを見て「ああなるほど、そういうことか」と。
つまり僕は観終わった後、この映画の意味を1ミリも理解できなかったんです。国語でいう作者の意図を読み取るやつ、あれ全くできなかった。
でもいいんです。国語じゃなくて映画だから。僕が好きな映画っていうのは、ロマンがあるもの、憧れが形になってる映画ってのが好きなんです。
子供の頃ナウシカを観てあのメーヴェに乗って空飛んでみたいなと。千と千尋の湯屋みたいなあんなお風呂入ってみたいなと。風立ちぬみたいに自分の大好きな仕事に没頭したいなと。
『君たちはどう生きるか』にはそういうのは全くなく宮崎駿の遺書のようなメッセージが含まれている世界。途中眠くなってしまった。空飛んで欲しかった。飛行機オタク用語いっぱい聞きたかった。美味しいごはんたくさん食べて汚い家を掃除して欲しかった。
この自分の欲望に気付いた時僕は思ったんです。あの映画の中に出て来たあの石(作品)たちを僕は子供の子からガムのようにくちゃくちゃ噛んで味がなくなっては吐き捨て、またあの味楽しみたいなと思ったら噛んでは捨て、噛んだは捨て。しっかりと飲み込んでなかったんです。この映画の意味が一発で分かった人っていうのは僕みたいに味だけ楽しむんじゃなく、しっかりと飲み込み、自分の胃袋で消化し、身体の一部にしている、そんなスタジオジブリを宮崎駿を愛し、人生の一部となっている人たちなんだと思います。
僕はジブリ大好きです。小さい頃のVHSのナウシカ、トトロ、魔女宅、千と千尋。この4本を擦り切れるほど観て、中学生からはハードディスクの中の風立ちぬを人生の教科書として観てきました。
けど、それ以上に僕はハリーポッターが好きで、スターウォーズが好きで、トムクルーズが好きで、たくさん浮気してました。
ごめんなさい宮崎駿監督。僕は結局、あなたに小さい頃たくさんロマンを味合わせてもらったのに、今作、何の意味も汲み取れませんでした。
けど僕は後悔はしてません。あなたに教わった日本の良さ、ロマン、アニメ映画としてのフォーマット。それは僕の映画という一つの臓器の基盤を作ってくれていたと思います。きっとあなたに心酔して、のめり込んでいたら出会えなかったり、ハマれなかった映画たくさんあったと思います。欲張りな僕にとってはそれでよかったんだと思います。
最後に、宮崎駿監督。あなたの『君たちはどう生きるか』という問いについて答えます。
僕は、欲望のままに自分の好きな輝きを放っている石たちを集めつくします。逆に、みんな集めてるけど自分の嫌いな輝きを放っている石は蹴っ飛ばしてやります。
これが僕の芸術観としての答えです。つまらない人間です。あなたの作品に出てくる登場人物として例えるとしたらミスターカーチスでしょう。
あなたがカッコいいを詰め込んだポルコロッソとは真逆の人物です。
PS 菅田将暉が声やってたのってどのキャラクター?