「リタラシーと共感性が試される大傑作」君たちはどう生きるか poxさんの映画レビュー(感想・評価)
リタラシーと共感性が試される大傑作
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日本アニメ文化を昇華した巨匠のメッセージ性の高い大傑作でした。
ある程度リテラシーや知的素養が無いと作品を完全に消化することは難しい作品だと想いますが、宮崎監督のおそらく最後の作品になることを踏まえれば視聴者はこれを正しく受け止める必要があります。
物語の最初はシリアスな雰囲気で主人公の眞人は空襲の炎で母親を失いますが、疎開先で不思議なアオサギに導かれて異世界に迷い込みます。そこから不思議の国のアリス的な展開で家族のアバター(若いころの姿)などと交流して最終的には、それぞれが深い「理解・共感」と自己肯定にたどり着き、自分の世界に帰っていくという展開で物語が進むにつ入れて明るくポジティブな展開になっていきます。
最後も感動的でまったく無駄のないエンディングでした。象徴的・心象的な表現も多いので理解できないと文句を言っている人が多いですが、ゴミのような異世界転生物が流行っているアニメ業界に対する正統派のアンチテーゼと言える作品でもあります。
アニメーション(作画)のレベルは全盛期にはおよびませんが、そこらへんは全く問題ありません。
「周りの人々を理解することによって世界の見え方が変わる」という素晴らしい映画でした
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