「宮崎駿監督が作りたかった映画をみられる幸せ!!!」君たちはどう生きるか にこ16さんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿監督が作りたかった映画をみられる幸せ!!!
キャラクターがとんでもなくかわいいので、あれを公開前に出さない戦略、いいと思います。あれだけを見にもう一度行きたいです(行きました)
それから画面の表現力が尋常じゃないです。
きれいなだけでなく、伝わってくる情報、感情が多すぎて、
気持ちが動きすぎて、どうしたらいいかわからなくなります。
それがなんなのか考えることも楽しいです。
ストーリーも私は大好きでした。
別の世界、新たな視点から世界を見て、今はまりこんでいた世界を抜け出すというような。
でも難しくなくて、ものすごく楽しいし、上滑りの部分は全くないです。
最後にはぼろぼろ泣いていました。
天才の宮崎駿監督とそれをリスペクトして支えるスタッフの方々。
こんな映画を作って下さって感謝したいです。
私は過去作と比べてもかなりこの映画が好きです。
以下ネタバレです。
完全に地獄めぐりとか、ダンテ神曲のイメージで見ました。下は死者の国です。大叔父はそれを司る石と契約して、その国をより良いものに作り変える権利を得、その国の王になった。親族も王族の扱いです。けれど、連れてきた鳥は増えすぎ、飢え、全く上手くいっているようにみえない。悪意の石。世界が崩壊することを恐れているのは大叔父だけで、石はそれも想定内、どうせ人間なんてできるはずないと思っているようにみえました。壊れたら、元の地獄に戻るのかな?
夏子は眞人を守るため、後継者を産むために、自ら死者の国に行きます。眞人が迎えに来たとき、強く帰りなさいと言っていました。夏子は若いキリコや久子にも驚いていなかったので、多少事情を知っていたんじゃないでしょうか。久子と夏子には何の遺恨もないようにみえたし、久子が死んでしまい、眞人を現世に残すために後継者を産むと考えると、姉が死んですぐに義兄との子供を妊娠した理由も納得できます。ラストシーン、産まれた子供はやはり男の子でした(久子や夏子が後継者候補になっていないことを考えると、男でないといけない?)現世では勢いのある単純な(無神経な)雰囲気の眞人の父は初めから終わりまで部外者なのが、皮肉です。
もうひとつ、眞人は前半夏子を嫌い、むくれていたのに、母からの本を見つけたとたんに、ガラッと雰囲気が変わります。あれは秘密書的なものじゃなかったのかなと想像しました。夏子さんは好きで森に入ったんじゃないと思う、とまで言っていたし。
ラストシーンで眞人が石を触るシーンも良かったです。お母さんの娘時代に会えて、あなたを産めるなんて最高って言われて、火に苦しんで亡くなったんじゃないってわかって、良かったね。
全部完全に妄想です。
何の情報もなく映画を観るって、本当に新鮮な体験でした!