「ネタバレも評価もまるで意味は無く」君たちはどう生きるか Izumiさんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレも評価もまるで意味は無く
まず言いたい。
この映画においては特に、低評価も高評価も、
とにかく「評価」というものを気にしちゃいけない。
私含め、それはその人達の感想です。
ちゃんと自分の目と頭と心で観て、
そうして感じたものがあれば大事にしたらいい。
切にそう思わされた作品だった。
ネタバレを探している人、それはあまり意味が無いからおやめなさいと。
探しても欲しい中身は見つからないし全くと言っていいほど分からない。
あらすじすら、この映画では表紙のかけらでしかない。
初回観たあと、分かっていた。
これは激しい賛否両論を呼ぶ。
ファンタジーでありながら、あまりにも高尚すぎる。
そのため自分も最初ポカーンとならずにはいられなかった。
でも、だからもう一度見た。
分からないものを理解したくて見た。
そうしたら唐突に、色んな情報を一気に理解した。
こんな映画があるのかと、こんなにも言葉に形容しがたい傑作が今の時代に生まれたのかと。
あまりのことに呆然とした。
よく分からない映画は数あるけれど、
「だからこそもう一度観たい」と一定数に思わせるか
そうでないかでは、天と地ほどクオリティに差がある。
(ちなみにここまで書いて★が満点でないのは、単純に好みの問題なので悪しからず。)
今私はレビューを書いているけれど、
どんな言葉で表せば正しくこの感覚が伝わるのかさっぱりだ。
1回目は眠気すら感じ、おもしろいだなんて思わなかった。
それが2回目はどうだろう、面白いなんてどころじゃない。
これは何かを超越した作品だ。天才の、渾身の。
きっとこの先しばらく、こんな作品は生まれない。
失礼ながら、同じテイストでつくったとしたら
今いるアニメ監督のほとんどがこれには届かないだろう。
恐らく分からない人は2回観ても分からない。
今まで劇中の説明を当然に享受してきた人、本を読まないタイプの人には相性が悪い。
子供は2時間超えの上映時間に耐えられるかどうかというところ。
けれど2回観ることで、分からないなりの楽しみを
見つけることはできるかもしれない。
ちなみに友人の小学2、3〜6年生くらいの子供達は
とても楽しかったと喜んだとか。
今までみたジブリの中で1番好きだと言う子もいたらしいので驚いた。
子供たちの「楽しむ」才能には脱帽だ。
自分は、感受性、想像力、経験や理解力、学、教養、
多いとは言えないそれら全てをフル稼働してやっとこの感動を得たと思う。
正直1回目で理解した人達に羨望を覚える。
なんて人を選ぶ映画だろうか。
これは憶測だけど、特に感受性が強く繊細な人ほど
早くに理解していたのではないだろうか。
それにしても、なるほど。
これを最後に引退したいというのなら納得だ。
全てを理解したとは言わない。
けれどこの作品か何であるかははっきり分かった。
アートであり芸術作品であり集大成だった。
「私は生きた。
これがここまでの私の人生だった。
人として、作り手として。
君たちはどうだ。その人生を、どうする。」
作品から私がごく勝手に受け取ったものはこうだった。
私は、宮﨑駿という人の生い立ちはほぼ知らない。
それでも分かったことがあった。
そうだったのか、と思った。