劇場公開日 2023年7月14日

「本作は"宮﨑駿"そのもの」君たちはどう生きるか snnxさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作は"宮﨑駿"そのもの

2023年7月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

事前の告知がイメージボード1枚しかないのに、TOHOシネマズ日比谷封切り2日目の21:20開演回は完売満席でした。宮﨑駿とジブリのブランドと期待度の大きさに驚く。

感想は複雑な気分で「面白かった、不満はある、切ない」。エンタメ50%くらいで、頭空っぽで楽しめる作品ではなかった。一方で深読みしようにも唐突な展開もあり、筋が通って無いので腹落ち出来ずツライ。

今までの宮﨑駿作品のフォーマットを期待して鑑賞すると不満が多い。これは宮﨑駿が自分の人生を振り返りモヤモヤした心象をイメージ化した作品だと思う。

過去のジブリ映画のような美麗な絵や流麗な動きで惹き込まれるという事もない。大叔父の部屋など以前の宮﨑駿なら怒り狂って緻密に仕上げたはず。最初に眞人が塔に入ろうとする場面も「引き返すんかよ!」と。要所要所に吾郎監督かな?新海監督かな?と思わせる迷走っぷりが見えた。違和感が多かった。

一方で折につけ語られる宮﨑駿の生い立ちや家族、仲間、作品を知っているならまさに集大成と言うべき作品。いままで作家の人生を切り売りして来たのを、全部出して惜しげもなく表現したかのよう。

「これが俺の物語だ!もう出せるものは全部出した。もう何も無い。終劇だ」と宮﨑駿が訴えているようで寂しく感じる。

手塚治虫や高畑勲は枯れる前に去って行った。生きていたらどんなにか素晴らしい作品を残しただろうと人は言うが、宮﨑駿は全部出し切って打ち止めを宣言して去りたかったのだろうか。天才の叫びに、ただただ切なく寂しい気分になった。

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