「宮崎駿自身が最終作だと意識したと思われる集大成」君たちはどう生きるか Toshさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿自身が最終作だと意識したと思われる集大成
自分にとって、ルパン三世第一シリーズから半世紀にかけてお世話になった宮崎駿監督。
「アニメなど子どもが見るもの」と粋がっていた思春期を経て、親が子どもと一緒に楽しめる映画を描き続けてくれた監督に感謝いたします。
御年82歳ということもあって、ご自身でも「これが最後」と意識されていることが伝わってきました。
ビートルズで言えば、すべて詰め込んで出し切ったアビーロードのような作品にも思えます。
長年のジブリファンは多いので、過去の作品を連想してニヤッとすることもあるのでは?
ここ最近のジブリに対する意見では、
「ちゃんとした声優を使ってほしい」とか
「最近難解になってきたので、ラピュタのようなドキドキワクワクするような冒険ファンタジーを今一度作ってほしい」とか
「『君たちはどう生きるか』なんてタイトルからして説教臭い」とか
ありましたが、宮崎駿監督はルパン三世のころから一貫してます。
元々、一般ウケなど意識せず、説教臭い偏屈おやじです(笑)
そもそも、ルパン三世第一シリーズだって、カリオストロだって、ナウシカだって、トトロだって、発表当初は閑古鳥であり、後からジワってロングセラーになるのが常でした。
私は多少なりとも、宮崎駿、高畑勲、久石譲の思想と哲学を理解しているつもりなので、どのジブリ作品もすんなり受け入れられます。
一枚の絵画ではなく、2時間にわたるセル画一枚一枚にあれだけ魂を込められるなんて並大抵のことではありません。
それらの背景を含めて、星一つなどという偉そうな評価は私にはできません。
というか、実際星5つに値すると思います。
この作品には、「みんなで考えて繋いでいってほしい」という宮崎駿のメッセージが込められていると思いました。
ご健在の宮崎駿監督に言うのも変ですが、半世紀以上本当にお世話になりました。
数々の名作、本当にありがとうございました。
作画監督の本田雄さんへの口説き文句が「宮崎家の男は皆早死にする。父親も79歳で亡くなったからこれが最後のアニメになる」って80歳で完成させてるんだからまだまだ生きてくれそうですけどね。
79歳って、男性ではそんなに短命でもないような。
「宮崎さんに命を盾に頼まれたら断れない」って引き受けた本田さんも、男気です。