「なぜわざわざ吉野源三郎?」君たちはどう生きるか lqq2kさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜわざわざ吉野源三郎?
クリックして本文を読む
劇中で、主人公が吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を読んで涙する(短い)シーンがあります。
主人公は友達とケンカして負けて、その帰りに自分の頭を石で傷つけ傷を負ったように見せた。「自分で転んだ」といいつつも、回りからがケンカで傷を負わされたと同情されたい気持ちがあったのでしょう。案の定、父はそう思いこんで学校に怒鳴りこみ、主人公はまずいなと思いつつ、それをずっと言い出せずにいた。
吉野源三郎の名作「君たちはどう生きるか」は、少年が親友を裏切りそれを言い出せずに苦しむが、最後に勇気を持って友に謝罪し救われるという本です。
亡くなった実の母から送られたこの本を、主人公はたまたま見つけて、深く心を動かされる。
主人公は、最後に大叔父から「この異世界を清らかな心で立て直して王となるか、元の汚れた世界に帰るか」と問われた際に、「頭の傷は自分の汚れの証拠です」と告白して、元の世界に戻ることを選びます。
ということなんでしょうが、もうちょっと心理描写してくれないと分からないじゃないですか。
(従ってこの映画の題名もしっくりこない)。
その他にも、パンフすら作らない興行戦略とか、セルフ・オマージュのやりすぎとか、今回は怒りがわきました。
長年のジブリファンかつ吉野源三郎ファンとして、そう思う次第です。
コメントする