「映画館でやる意味ある?」君たちはどう生きるか akisさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館でやる意味ある?
宮崎駿ファンのための映画。
多くの映画館で、夏休み時期に大量のスクリーン埋めて上映するには、観客に失礼が過ぎる。2000円払う価値はないので、ライトなジブリファンくらいの方には全くおすすめできません。
これだけ様々な方法でコンテンツを公開できる時代に、劇場公開する意味を考えてほしい。
宮崎駿最後の作品と謳って、1人1万円取ってネットで有料公開して、ファンの熱い要望により単館系で大スクリーンでも見られる、くらいで良かったと思います。もちろん収益は下がるので映像のクオリティは下げざるを得ないと思いますが。
ジブリと宮崎監督がすごいのは、多くの人を魅了する作品を何作も生み出したからです。それっぽいアート系の売れない作品を作れる監督は世間に五万といるし、彼らはファン以外に影響を待ち得ません。多くの人を楽しませる、感動させるべきフィールドで、そんな作品を上映するに至った不誠実さに失望しました。
一方、宮崎駿ファンの方は絶対に劇場で観るべき映画だと思います。何度も足を運んで宮崎監督の最後のメッセージを何度も咀嚼するべき。
作品としては、わかりづらい上に抑揚もカタルシスもなく、これまでやってきたことの詰め込みで、理解できない人が多いのではないでしょうか。
駿、腕落ちたな、というのが正直な感想。残念です。
宣伝を一切行わなかったことも、豪華タレント陣を声優に起用している時点でかなり違和感があります。鈴木Pはこの作品の制作初期に大衆受けしないことに気づいていたと思いますが、ジブリ最大の功労者である宮崎監督に華を持たせてあげたい思いがあったのでしょうか。
もしくは、制作過程で宮崎監督が心変わりし、より多くの人にメッセージが伝わる方向に変わる可能性に賭けたのか。宣伝(多くの人に観てもらうための行為)をしなかったのは、もしかすると鈴木Pの最後の良心だったのかもしれません。
(おそらく回収見込みが立たないため、コスト削減しただけと思いますが)
何度も見返した大好きなジブリ作品もあるので非常に残念でした。
宮崎駿ファン以外の方は、金曜ロードショーを待つことをお勧めします。